G-7 Finance Meeting: How Far Will US Egotism Go?

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G7財務相会議  米国の身勝手どこまで

 カナダで開かれた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は、鉄鋼輸入制限など保護主義政策を強める米国を各国が批判。日欧カナダ6カ国の「懸念と失望」をトランプ大統領に伝えるよう、米国に要請する議長総括を発表して閉幕した。特定国を名指しするのは異例だ。

 トランプ氏は「貿易戦争に負けるわけにいかない」とツイッターに投稿し、強硬姿勢を崩さない。8日から開かれるG7首脳会議(サミット)の波乱は避けられまい。

 貿易赤字の削減にこだわり、国際ルール違反も辞さない身勝手な振る舞いをトランプ氏はどこまで強めるのか。11月の中間選挙に向けたものだとしても、選挙後に「米国第一」のトーンを下げるとの期待は必ずしも持てないだろう。

 米国が3月に発動した鉄鋼輸入制限は中国や日本に適用され、カナダや欧州連合(EU)には交渉継続のため猶予を設けていた。ところが米国は今月1日、財務相会議のさなかに猶予を解除。英仏独伊カナダとの対立が先鋭化した。

 財務相会議の本来のテーマは、世界経済や為替動向だ。にもかかわらず通商分野に発言が集中したことが、問題の深刻さを物語る。出席した米国のムニューシン財務長官は会議後の記者会見でG7の亀裂を否定したものの、「1対6」の構図は隠しようがない。

 世界経済は堅調とはいえ、最近の米長期金利の上昇で新興国からの資金流出が加速し、一部の国は急激な通貨安に見舞われている。イラン核合意をめぐって緊張の高まる中東情勢、財政基盤の弱いイタリアの政局も懸念材料だ。

 立場の違いはあっても結束を確認してきたG7の財務相が、共同声明を出せず議長総括にとどまったことは残念だ。不協和音が長引いては、何かのきっかけで金融システムや市場の不安が高まった場合、連携して抑える役割を果たせるか心配になる。

 EUとカナダは米国への報復関税など対抗措置を構える。これまで慎重姿勢だった日本政府も、世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを進めるEU・カナダと共同歩調を取る可能性があることを麻生太郎財務相が示唆した。

 トランプ政権は鉄鋼に続き自動車の輸入制限も、安全保障を理由として検討している。そもそも同盟国まで一律に適用対象に含めるのは理解に苦しむ。貿易不均衡の是正は国際ルールに基づいて行う姿勢を、サミットでは7カ国が一致して打ち出してもらいたい。

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