Obama’s Gaffes and Nov. 6 Elections

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オバマの失言 11月6日

オバマ大統領が誕生してから3カ月の2009年4月、米国中が喜びに沸いていた。アフリカ東部ソマリア沖でコンテナ船が海賊に襲われ、人質となっていた米国人船長が、無事救出されたのだ。

 ▼海軍の特殊部隊が、船長に自動小銃を突きつけていた海賊3人を射殺したという。事の顛末(てんまつ)は、後にトム・ハンクスさん主演の映画にもなる。大統領の危機管理の手腕も大いに評価されたものだ。

 ▼当時は日本でも、「チェンジ」や「イエス ウイ キャン」などが流行語になる、大変なオバマブームだった。ただ、「演説の達人」のはずの大統領は記者会見で、意味不明の発言をしていた。「われわれはあの海域での、プライバシーの台頭に終止符を打つ決意を固めています」。プライバシーは、つづりが似ているパイラシー(海賊行為)が正しい。

 ▼在米ジャーナリストの西森マリーさんによると、実はオバマ大統領は、スピーチライターの書いた原稿を読んでいるだけだという。それゆえに記者会見で読み間違えたり、あらかじめ知らされていない質問に対しては、信じられない失言を繰り返してきた(『オバマ失言で学ぶアメリカ』)。

▼米中間選挙の結果、上院・下院とも野党・共和党が過半数を占めることになった。最大の敗因は、大統領の不人気である。失言癖のせいだけではなさそうだ。移民政策などの内政から、勢いを増すばかりのイスラム国への対応まで、「決められない政治」に、有権者が愛想を尽かしてしまった。

 ▼今後2年間、オバマ氏は「レームダック」(死に体)状態のまま、大統領の職にとどまらなければならない。韓国の政治の混乱を見るにつけても、「大統領制」が抱える問題の深刻さが浮かび上がってくる。

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