Equipment Falls from American Helicopter; Stop Flights until Reason Discovered

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<社説>米軍ヘリ装置落下 原因究明まで飛行中止せよ

 過重な基地負担に伴う危険と背中合わせの生活を強いられている現実を痛感させられる。

 米軍普天間飛行場に所属する海兵隊の攻撃ヘリAH1スーパーコブラが15日夕、沖縄本島西方約60キロにある渡名喜村・出砂島(入砂島)周辺の訓練空域を飛行中、重さ計200キロ余りのミサイル発射装置などを海に落下させた。

 落下させたのはミサイル発射装置や同格納容器、空の燃料タンクで、沖縄防衛局に16日午後、米海兵隊が連絡したという。けが人や物損などは確認されていないが「一歩間違えれば大惨事になっていた。あってはならない出来事」(上原昇渡名喜村長)であることは間違いない。

 普天間所属のAH1ヘリは昨年3月、本島沖合で揚陸艦への着艦に失敗した。同8月には燃料キャップの紛失が発覚し、同9月には、ねじや部品の紛失があった。昨年1年間で、これだけのトラブルが確認されたにもかかわらず詳細な原因を明らかにしないまま、米軍は訓練を継続している。

 トラブルがありながら飛び続ける米軍機はAH1ヘリに限らない。県民の命や財産より兵員の練度維持を優先させるような対応は言語道断であり、憤りを禁じ得ない。

 計200キロ余のミサイル装置が落下した事故に、市民団体「リムピース」の頼和太郎編集長は「今までの事故とはレベルが違う、深刻な問題」と指摘している。

 電気系統の異常や取り付け不十分といった整備不良の原因が考えられるが、いずれにしても「通常落下することは考えられない」(頼氏)。米軍の安全管理体制が厳しく問われる。原因究明や公表まで飛行は当然中止すべきだが、これは県民にとって最低限の要求であることを理解すべきだ。

 通報体制や周知についてもあらためて問題点が浮かび上がった。

 日米両政府は、在日米軍の事件・事故に関する1997年3月の合意で、航空機の場合は危険物落下などを含めて米側による速やかな通報を定めている。今回は日本側に連絡があったのは事故の翌日。通報を受けて沖縄防衛局が県や関係市町村に伝えたが、発表はなく、報道機関の取材で事実が明らかになった。

 知り得た情報をいち早く住民に周知することが国や県の責務ではないのか。米軍の裁量が大きい通報体制の在り方と併せて議論し、迅速な広報を義務付けるべきだ。

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