US-China Conference: Costing the Peace of This Century

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米中首脳会談 今世紀の安定がかかる

 オバマ米大統領が、訪米した中国の習近平国家主席と会談する。安全保障などで対立を見せつつも、経済的な重要性を増す中国。両大国は世界の安定に向け、平和共存の道を採らねばならない。

 習主席にとっては国賓としての初の公式訪米。両首脳の会談は昨年十一月以来となる。

 懸案はめじろ押しだ。米国は政府機関や企業へのサイバー(電脳)攻撃を中国政府が支援していると批判。中国による南シナ海岩礁埋め立てなどに警戒感を強める。人権問題での隔たりも大きい。

 中国による示威的、挑発的姿勢も目立っている。「抗日戦争勝利七十年」記念の軍事パレードでは、米国ほぼ全土を射程に収める大陸間弾道ミサイルなどを誇示。今月半ばには黄海上空で、中国機が米偵察機に異常接近した。

 習主席は米到着後の声明で、米中が「『新たな形の大国関係』になることを両国民が望んでいる」と訪米の意図を説明、米国への対抗意識とも映った。

 米国では、「中国脅威論」が強まるばかりだ。

 対立は米中二国間だけにとどまらない。米国はロシアを排除した先進七カ国(G7)で結束。これに対し中国はロシアと組んで新興五カ国(BRICS)や上海協力機構などの新たな枠組みづくりに力を入れる。国際秩序も米中を軸に分断されつつある。

 一方で、経済面では中国への依存度は強まっている。米国入りした習主席はアップルなど米中企業トップらと会談。中国の航空機リース会社は米ボーイング社の航空機三百機を購入することで合意。八月の中国の人民元切り下げ、株価暴落は米国のみならず、世界経済全体に衝撃を広げた。

 冷戦時代のように対立を際立たせるだけでは、対中関係は築けない。中国との衝突を避け、むしろ、取り込んで共存していく方策を探っていきたい。

 二〇一三年六月、両首脳の初の会談は計八時間にわたり、「新たな形の関係」を築くことで合意。昨年十一月の会談では、温室効果ガス排出量削減で新目標を発表し、連携を示した。

 習主席は首脳会談に先立ち、米中の衝突回避のためには「お互いの戦略的意図を正確に判断しなければならない」と強調した。

 今回の首脳会談が、米中両国が意思の疎通を深め、互いの意図を十分説明し、理解し合う好機となることを望みたい。

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