US Military Helicopter Emergency Landing

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米軍の機体点検体制はどうなっているのか。

 沖縄県読谷村の廃棄物処分場に8日、普天間飛行場所属のAH1攻撃ヘリが警告灯が点滅したとして不時着した。6日にも同飛行場所属のUH1ヘリが、うるま市伊計島の東側海岸に不時着したばかりだ。

 これら以外にも同飛行場所属機はCH53大型輸送ヘリの不時着・炎上や、小学校運動場への窓落下、輸送機オスプレイの緊急着陸などトラブルが相次ぎ、県民の不安をあおっている。

 小野寺五典防衛相は、マティス米国防長官に電話で整備の徹底や抜本的な再発防止を求め、マティス氏は謝罪した上で「しっかり取り組んでいきたい」と応じたという。

 こうしたやりとりは、これまでもトラブルが起きるたびに繰り返されてきたが、なんら再発防止につながらなかった。今回、不時着したヘリも、原因の検証も曖昧なまま9日朝には自力で離陸し、同飛行場に戻っている。

 この行動一つみても、米軍が事態の深刻さを重く受け止めているとは到底思えない。米側は機体の影におびえて暮らす県民の心を逆なでするような姿勢を改め、整備体制の不備を徹底検証すべきだ。米軍の説明をうのみにしてきた日本政府の責任も、極めて重い。

 最近は米海兵隊の事故が世界で増えており、地元紙によると、米連邦議会や米国防総省は昨年12月、軍事予算の節約、削減が整備などに深刻な影響を与えていると指摘したという。整備不良の実態を米国防省自ら認めた形だ。

 2004年に米軍の大型輸送ヘリが沖縄国際大学に墜落した事故では、整備不良のボルトの脱落が原因だった。米軍が本気で再発防止に取り組まなければ、同様の事故が再び起きても不思議ではない。加えて北朝鮮情勢の緊迫化が、整備体制に隙を広げているのではないかという懸念の声もある。

 一つの重大事故の背後には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというハインリッヒの法則を思い起こしたい。米軍は、取り返しのつかない重大事故に至る前に、徹底して芽を摘み取るべきだ。

 だが、問題の根本にあるのは、沖縄に在日米軍専用施設の7割超を集中させ、米軍が提供施設や区域を超えて訓練や演習ができる現実だ。そのいびつな構造を変えない限り、県民の不安は消えない。相次ぐ事故やトラブルは、日米同盟の在り方も問いかけている。

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