Stop Speculation that Manipulatively Uses Social Media

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SNS(交流サイト)を利用した米個人の集団的な投資行動が、市場を混乱させている。SNSで呼びかけあった個人が特定銘柄を買い上げ、株価が急騰する例が相次いでいる。米規制当局は実態を調査し、SNSを悪用した投機には歯止めをかけるべきだ。

個人らを束ねるのは、米SNSのレディットだ。最大の標的となった米ビデオゲーム販売のゲームストップは業績が赤字ながら、株価は一時年初の20倍を超えた。

個人はヘッジファンドの空売りが多い銘柄に狙いを定めている。株価急騰によって、ファンドは空売りの買い戻しを迫られた。

先週は損失を被ったファンドが持ち高を圧縮し、世界の株式相場が急落した。標的は株にとどまらず、銀価格の高騰も招いている。米個人の投機が世界の市場を不安定にするのは看過できない。

個人がSNSで連携してヘッジファンドを打ち負かした事実は、投資家の力関係の変化を示す。

一方、市場には健全な株価形成を促すためのルールがある。共謀や虚偽の情報などによって株価を人為的につり上げる行為は、違法な相場操縦にあたる。米証券取引委員会(SEC)はルールを逸脱していないか調査すべきだ。

既存の法律は、SNSが個人の投資行動を左右する事態を想定していない。SNS上の公開の場で株購入の意思を表明しても、相場操縦にあたるのかは判断が分かれよう。SNS時代の投資行動に合わせたルールづくりも必要だ。

手軽に株を売買できる金融サービスの普及で、個人投資家の裾野は拡大した。スマートフォンの株取引アプリを提供する米ロビンフッドは売買手数料を無料にし、利用者を爆発的に増やしている。

米新興フィンテックの中には口座開設時に十分な審査を実施しない企業もある。投資経験の浅い個人がいきなり、リスクの高いオプション取引に手を出す例も増えている。行き過ぎた投機から投資家を保護するためにも、米当局は取引業者の監視を強めるべきだ。

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