North Korean Nuclear Disarmament is a Must

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社説:米朝協議 あくまで核廃棄めざせ

 北朝鮮を完全な核廃棄へと導く新たな道を、切り開かねばならない。きょう平壌入りするボスワース特別代表ら米政府代表団には、そういう強い決意を抱いてほしい。

 オバマ政権発足後、初めての米朝直接協議である。「核兵器のない世界」を提唱して10日にノーベル平和賞を受賞する大統領は、北朝鮮の核開発にどう対処するのか、国際社会が見守っている。したたかな北朝鮮を相手に、すぐ目に見える成果は得にくいにしても、異様な独裁国家の核の脅威が存続している事態は断固として解消する。この方針を日本や韓国とも共有し、堅持してこそ目標は達成できる。粘り強い不屈の努力を期待したい。今回の米朝協議はその入り口である。

 ただ、この問題は解決への展望が見えない状況だ。米国がクリントン政権時代の93年に北朝鮮との交渉を始めて以来、結果的に事態は悪化した。当初、強硬姿勢をとったブッシュ政権は北朝鮮の核実験後、安易な妥協に走って失敗した。オバマ政権はこれまでのところ制裁と柔軟姿勢を併用する堅実な姿勢だが、アフガニスタン情勢や経済危機の優先順位が高く、北朝鮮の核に全力で対処する余裕がないようにも見える。

 こうした現実を背景に、米国では「北朝鮮の完全な核廃棄は当面、不可能だ。テロ組織や危険国家への核拡散を防ぐことで良しとすべきだ」といった趣旨の主張も公然と語られている。北朝鮮の手に少量の核兵器や核物質が残ってもやむをえない、という意味になる。この「当面」が長期化するなら、日本が容認できることではない。あくまでも完全な核廃棄を目指すべきである。

 ボスワース氏は北朝鮮側に、6カ国協議を通じ核廃棄へと進むなら米朝関係正常化や経済支援も可能だと説明する模様だが、北朝鮮が粘って身勝手な要求を重ねるのは目に見えている。米朝協議は複数回に及ぶ可能性が高い。この難所を越えて6カ国協議にこぎつけ、問題解決を図ろうとする道筋で、米国とともに大きな役割を果たすのが中国である。

 中国は北朝鮮の核実験を受けた国連の制裁決議履行に協力した。だが10月の温家宝首相訪朝を機に北朝鮮への経済支援を拡大し、その後も国防相や全国人民代表大会(全人代)代表団が訪朝するなど、北朝鮮との友好協力をアピールしている。

 これが中国外交というものではあろう。しかし6カ国協議の議長国、同時に北朝鮮の命綱を握る支援者として、強い影響力を発揮する責任もあるはずだ。北朝鮮は打開困難な窮地に陥れば自ら大きく譲歩する。米国と中国が協力し、そんな状況を作るのは可能なはずである。

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