One Step Closer to a Nuclear-Free World

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米ロ核軍縮条約 『プラハの誓い』着実に

米国とロシアの首脳がプラハで新しい核軍縮条約に調印した。一年前にオバマ米大統領が「核なき世界」演説をした場所だ。世界の核兵器の95%を保有する両国は「プラハの誓い」を推進したい。

 新条約は昨年十二月に失効した第一次戦略兵器削減条約(START1)の後継になる。

 調印式後の共同会見でオバマ大統領は新条約について「核の安全保障と不拡散、米ロ関係にとって重要な一里塚だ」と強調し、核なき世界に向けた「長い旅の一歩だ」と述べた。ロシアのメドベージェフ大統領は「両国の国益とバランスを反映した」と評価した。

 新条約では米ロ双方が配備する戦略核弾頭の上限を千五百五十とし、モスクワ条約(二〇〇二年調印)で上限とされた二千二百より約30%削減される。ミサイルなど運搬手段の上限もSTART1時点から半減の八百となる。現地査察や実験データの交換といった検証措置も盛り込んだ。条約発効から七年以内にこの目標を達成しなくてはならない。

 次の関門は両国議会による条約の批准だ。米上院では三分の二以上の賛成が必要となり、オバマ大統領は核戦力維持を強く主張する保守派の説得を迫られる。

 核削減には米ロの思惑もあった。ロシアは核兵器が老朽化して機材更新には予算が足らない。米国は核を削減しても通常兵器の優位によりロシアとの均衡を保てると判断した。

 それでも二大核大国が率先して核弾頭と運搬手段の削減に取り組めば、他の核保有国にも削減を促す説得力を持てる。「唯一の被爆国」日本にとっても、核廃絶への一歩と歓迎できる。

 また両首脳は会見で、ウラン濃縮を続けるイランに強い懸念を表明した。核拡散防止条約(NPT)体制の強化が米ロの共通認識であり、イランに対する制裁の動きが加速する可能性がある。

 不安材料は米国が進めるミサイル防衛(MD)構想にロシアが不信感を抱いていることだ。新しい条約を軌道に乗せるためにも、MDをめぐって緊張を高めることがないよう両国には緊密な外交努力を望む。

 米ロが軍縮に取り組む一方で、中国は核兵器の近代化を急いでいる。オバマ大統領も先に、中国の核政策に対し「不透明だ」と懸念を示した。やがては米ロに中国など他の核保有国も巻き込んだ核軍縮会議が必要になろう。

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