GM’s Re-listing Reflects Japan and America’s Difference

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GM再上場が映す日米の差

2010/8/20付

 米国のゼネラル・モーターズ(GM)が株式を再上場する。18日、米証券取引委員会(SEC)に申請した。昨年6月に米連邦破産法11条の適用を申請し、政府の管理下で経営再建を進めてきたが、わずか1年余りで再上場申請にこぎつけた。

 GMの経営はまだ病み上がりだが、今年1~3月期、4~6月期と2四半期続けて最終黒字を計上している。多額の債務超過に陥ったGMを新旧に分離し、人員削減や年金・医療費などの従来のしがらみにまつわる費用を一気に削減したことで、経営が身軽になった。さらに、新興国の需要が急拡大した。

 短期再生の立役者はオバマ政権だ。昨年1月の政権発足当初から、企業再生の専門家を集めGMを短期に再生させる計画を組んだ。

 リーマン・ショック以降、GMとクライスラーは経営危機が募った。米政府はクライスラーを伊フィアットに売却する一方、GMは経営を新旧分離したうえで新生GMの株式の6割超を拠出した。

 GMにつぎ込んだ公的資金は融資と出資を合わせ、円換算で4兆3千億円。政府が取締役会に影響力を行使して、資産売却に消極的な経営陣を入れ替えるなど、荒療治に踏み切った。その成果が表れたといえる。

 再上場を急いだ背景には11月の中間選挙に向け実績をつくる狙いもあろう。上場に際しGMが発行するのは、投資家が配当を優先して受け取れる優先株だ。普通株に比べて配当のコストが上がる。それを承知で投資家を集める手法には、公的資金の回収を急ぐ意向が透けて見える。

 もちろん、企業再生は短期決戦が鉄則でもある。日本ではGMの手法を参考に日本航空の再生が進められているが、金融機関との新規の融資を巡る交渉がもつれている。今年1月に会社更生法の適用を申請した後も、半年以上たつのに再生計画が合意できていない。着陸料の引き下げなどコストを下げる必要があるのに、政府はほったらかしたままだ。

 公的資金の回収期に入った米国と周回遅れの日本。日航は来週にも再生計画を裁判所に提出するが、時は金なり。両社の置かれた条件は違うとはいえ、関係者は日米に生じた差を真剣にかみしめるべきだ。

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