“Refugees” from the Obama Administration

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【from Editor】オバマ政権からの“亡命者” (1/2ページ)

2010.8.23 08:29

このニュースのトピックス:from Editor

 「通勤客がラッシュ時の電車に乗り込む際の必死さを日本の民主党政権も安保政策に向けてくれたらと思います」

 ブッシュ米政権下で国家安全保障会議(NSC)不拡散問題担当部長を務め、昨年10月からは日立製作所のフェローシッププログラムで日本に滞在したキャロリン・レディ氏は、このほど帰国を前にした研究報告会でこう語った。

 米国の首都ワシントンと違って、すぐに後続列車がくるにもかかわらず、通勤客らがなんとしてでも電車に乗ろうとする姿に驚かされたという。電車を逃すまいとする乗客とは対照的に、鳩山由紀夫前政権はインド洋での海上自衛隊による給油活動を中止するなど、他の国とともに汗を流して国際貢献に取り組もうとする姿勢に欠けたとレディ氏には映った。

 2000年にコロンビア大で修士号を取得し、核や生物・化学兵器の拡散問題の専門家としてホワイトハウス、国務省で勤務したレディ氏は、北朝鮮の核問題にも関与した。退任後、米政府が金正日政権に融和姿勢をとっているとして、当時のヒル国務次官補を強く批判した。ワシントン勤務時代にインタビューした際もテロ支援国家指定解除は「北朝鮮の大勝利になる」と警鐘を鳴らしていた。

【from Editor】オバマ政権からの“亡命者” (2/2ページ)

2010.8.23 08:29

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 日本専門家でないレディ氏が東京に住むことを決めたのは、米国による「核の傘」の現状に興味を持ったことに加え、「オバマ民主党政権が誕生し“亡命”したくなった」のだという。ところが、日本でも政権交代がおき、民主党政権が誕生した。関心は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題で揺れた日米関係に移った。

 レディ氏は菅直人政権にも鳩山前政権同様の懸念を覚える。特に参院選の民主党大敗で「政治的にも弱まった菅首相が外交・安保に力を入れることはないのでは。悲観的な気分が高まった」と語る。日米安保条約改定50周年にあわせ本紙で「同盟弱体化」企画を続けているが、この懸念を共有する。

 安保関係以外ではサッカーなどのスポーツ観戦、京都・奈良の見学など、日本での生活を満喫したというレディ氏。居酒屋で酒を飲むことも覚えた。帰国した後も「日米同盟関係をサポートしていきたいという気持ちが強くなった」という。

 「知日派」というと、アーミテージ元国務副長官、グリーンNSCアジア上級部長の名前が浮かぶが、レディ氏のような新しいタイプの人にも期待したい。(副編集長 有元隆志)

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