The United States Midterm Elections: The Congressional Counter-Measures of a Beleaguered Mr. Obama

<--

米中間選挙 困難増すオバマ氏の議会対策(11月4日付・読売社説)

 任期半ばを迎えた米国のオバマ政権に厳しい審判が下った。

 中間選挙で与党・民主党は連邦議会下院で60議席以上を失い、少数派に転落する歴史的大敗を喫した。

 共和党は、16年前に民主党から52議席をもぎとったときを上回る圧勝で、4年ぶりに下院で過半数の議席を奪還した。上院でも議席拮抗(きっこう)の勢いを見せた。

 民主党が上下両院で過半数を占める現在の会期中ですら、オバマ政権は、共和党の非協力的な姿勢で、議会対策には苦労してきた。野党に議会の主導権を握られる来年1月からの次期会期では、その困難は一層増すことになる。

 それが、オバマ大統領の政策遂行能力にどう影響するのか。日本を含め国際社会は、オバマ政権の外交・安全保障政策や通商政策を注視しないわけにはいかない。

 民主党をこれほど大きく退潮させた要因は、経済政策に対する有権者の不満と反発だろう。

 雇用情勢は悪化し、失業率は9%台後半で高止まりしている。景気回復が期待ほどに進まないため税収が伸びず、財政赤字は2年続けて1兆ドルの大台を超えた。

 「オバマ政権の景気回復策は、財政赤字と失業者を増やしただけだ」と批判する共和党に、有権者が共感した結果といえる。

 リーマン・ショック後の未曽有の金融危機の中で登場したオバマ大統領は、巨額の財政支出によって、金融システムの崩壊をくい止め、破綻(はたん)した米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)などを救済した。

 しかし、新規雇用の創出や景気浮揚にはつながらないでいる。

 逆に、その「大きな政府」路線が、財政規律を重視し、政府の介入を嫌う保守派の怒りを呼び起こした。「ティー・パーティー」(茶会)と呼ばれる草の根運動が各地に広がり、中間選挙で共和党を押し上げる原動力となった。

 米議会では今後、財政緊縮派が勢いを増す。オバマ政権は追加の景気刺激策を実行する際に、強い抵抗にさらされよう。米国の景気対策に手詰まり感が強まれば、世界経済にも影響が及ぶ。

 共和党は、医療保険改革法について撤廃あるいは大幅修正を主張している。排出量取引を盛り込む地球温暖化対策法案にも反対だ。核実験全面禁止条約(CTBT)は無論、米露の核軍縮条約の批准にも難色を示す可能性がある。

 オバマ大統領は、政策遂行のため、議会を説得する強い指導力を発揮しなければならない。

(2010年11月4日01時27分 読売新聞)

About this publication