Japan–U.S. Leadership Conference: Next Year Will Show Results of Alliance Deepening

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日米首脳会談 来年こそ同盟深化の成果を(11月14日付・読売社説)

 日米安保条約改定50周年という格好の機会を逃したのは残念だ。共同文書の発表を来年に持ち越す以上、内容を充実させることが求められる。

 菅首相とオバマ米大統領が横浜で会談し、来年春にも首相が訪米して、日米同盟に関する共同文書を発表することで一致した。

 昨年11月、当時の鳩山首相と大統領が同盟深化の作業を開始することで合意した際は、今回の大統領来日時における共同文書の公表を念頭に置いていた。

 だが、米軍普天間飛行場の移設問題の迷走に伴い、作業は遅れ、共同文書策定の機運が失われてしまった。その原因はひとえに、鳩山前首相を中心とする民主党政権の未熟かつ拙劣な外交にある。

 普天間問題は、5月に日米合意がまとまった後も、菅政権の無策により、何の進展もない。

 政府は、28日の沖縄県知事選の結果を踏まえ、名護市辺野古に移設するとした日米合意が前進するよう、地元への説得を本格化させなければなるまい。

 菅首相は首脳会談で、自衛隊の医官をアフガニスタンに派遣し、国軍の医官を指導することを前向きに検討する考えを表明した。

 同盟を深化し、来年の共同文書を充実させるには、日米間の懸案を着実に解決するだけでなく、日本が安保面で国際的役割を従来以上に果たすことが欠かせない。

 大統領は会談で、中国について「国際的ルールの中で適切な役割、言動を行うことが重要だ」と強調し、菅首相も同意した。

 菅首相はまた、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件とメドベージェフ露大統領の北方領土訪問について、米側が日本の立場を支持したことに謝意を示した。

 漁船衝突事件と露大統領の国後島訪問では、場当たり的な菅外交のもろさが露呈した。日米同盟を基軸とする日本外交全体の立て直しが急務だが、一方的に米国に頼るだけでは済まされない。

 大国化した隣国・中国とどう向き合っていくかは、日本外交の永遠の課題と言っていい。

 中国が中長期的に、政治、経済、軍事の各分野で国際的な規範を順守し、国力に見合う責任ある行動を取るよう誘導する――。そのためには、いかなる方策を取るのが効果的なのか、米国と戦略的な対話を重ねることが大切だ。

 日本が具体的なアイデアを提案し、米国以外の関係国との連携にも積極的に動く。そうした主体的な努力の積み重ねこそが、日本外交の立て直しにつながろう。

(2010年11月14日01時21分 読売新聞)

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