【主張】日米首脳会談 懸案解決の期限定まった
2010.11.14 03:21
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菅直人首相は来日したオバマ米大統領と日米首脳会談を行い、威圧的外交を強める中国やロシアを念頭に、日米両国が同盟関係の一層の強化と連携を軸に対抗していくことで合意した。
とりわけ中国に対して「国際ルールの中で適切な役割を果たす」よう求めることで両首脳が一致し、オバマ氏が「日本を守る決意に揺るぎはない」と改めて確約したことを高く評価したい。
ただ、日米が力を合わせて中国の理不尽な行動を抑えるには、まず日本が自らの同盟の義務をしっかりと果たすのが大前提だ。菅氏には普天間飛行場移設、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)協議などの宿題を着実に「有言実行」することを強く求めたい。
会談の冒頭、菅氏は尖閣諸島や北方領土で中露の挟み撃ちに陥った際に「米国が一貫して支持してくれた」と感謝し、「私自身も国民も米軍の存在の重要性を認識した」と今さらのように語った。実は、そこに現政権の問題点も表れているのではないか。
日米安保条約改定50年にあたるこの1年、民主党政権は普天間問題などで迷走を重ねた結果、同盟空洞化が進み、中露がつけ込むすきを与えたといえるからだ。
会談では、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題に加え、日本のアフガニスタン支援拡充策やレアアース(希土類)を含む政策協議なども話し合われた。
しかし、何といっても重要なのは、今回先送りされた日米安保体制強化のための共同声明の発表が「来春の首相訪米時」に再設定されたことだ。普天間や駐留経費負担の問題を必ず来春までに決着する明確な期限を区切られたことを意味する。菅政権にとって後ずさりのできない重大な公約だ。
普天間飛行場は米軍(海兵隊)のプレゼンスの象徴といえる。日米合意通りに移設を履行することが、力ずくの海洋権益拡大を進める中国や、日本を軽視したロシアの外交攻勢に対抗する上で必要不可欠だ。菅氏は同盟の抑止力と実効性を担保するために、その重要性を強く認識する必要がある。
月末には普天間問題のかぎを握る沖縄県知事選もある。菅氏はオバマ氏に「最大の努力」を約束したが、努力だけでは不十分だ。同盟を強化する第一歩として、移設実現に不退転の決意をもって臨んでもらいたい。
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