Prime Minister Revisits Okinawa to Enact Burden Reduction Measures

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菅直人首相が沖縄県を訪問した。就任以来、2回目である。

 首相は仲井真弘多知事との会談で米軍普天間飛行場の移設問題について、鳩山前政権の迷走を謝罪したうえで、同県名護市辺野古への移設が「実現可能性を考えた時、ベターな選択肢だ」と述べ、日米合意履行の政府方針への理解を求めた。知事は「県外移設が私の公約だ」と語り、平行線に終わった。

 知事は会談後、「県内(移設)はグッド、ベター、ベストという分類に入らない。バッド(悪い)の系列というのが沖縄の感覚だ」と、首相の言葉遣いに不快感を示した。

 一方、首相は会談で、来年度予算から導入する地方への一括交付金について、沖縄県分を「別枠」として優遇措置を継続する考えを伝えるとともに、来年度で終了する沖縄振興特別措置法に代わる新法を制定する方針を表明した。

 首相が沖縄振興策を重視するのは、これを突破口にして普天間飛行場の辺野古移設に道を開きたいという思いがあるのだろう。日米合意履行に向けた環境整備である。

 だが、沖縄振興と引き換えに米軍基地の「過重な負担」を押しつけるという自民党政権時代以来の手法はもう限界である。今、沖縄に充満しているのは、日本全体の安全保障の負担を沖縄が引き受けることへの強い疑問だ。「沖縄への差別だ」との声もある。本土と沖縄の意識の落差を埋める努力がなければ、振興策をいくら強調しても、移設問題の解決には結びつかない。

 菅政権発足以降、普天間問題にはまったく進展が見られない。名護市では、1月の移設受け入れ反対を掲げる市長の誕生に続いて、9月の市議選で市長派が勝利した。県議会も県外移設を決議している。そして、かつて条件付きで辺野古移設を容認していた仲井真知事も、先月の知事選を経て「県外移設」に方針変更した。菅政権の思惑と沖縄の現実の隔たりは大きくなるばかりである。

 にもかかわらず、普天間問題について首相は今回も、打開に向けた方向性を県側に提示することができなかった。近い将来、沖縄が「県内移設」受け入れに転換するとは考えにくい。残るのは普天間飛行場周辺住民の危険性の固定化である。

 このまま事態が推移すれば、米国からも沖縄からも、菅政権は本気で問題を解決する気があるのか、という見方さえ出かねない。

 日米合意には、辺野古への移設とともに具体的な負担軽減策が盛り込まれている。県外・国外への米軍の訓練移転などの軽減策を、移設問題と切り離して先行実施するための真剣な検討を重ねて求める。

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