Potomac Correspondence: The Secret Room Bouts in Washington

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ポトマック通信 密室勝負のワシントン

2011.1.25 02:51

 今月19日、寒空を切り裂く歓迎式典の礼砲で明けた米中首脳会談。異論はあろうが、前夜の非公式夕食会で、あらかたの勝敗は決していたように思う。

 メモをとらない会合ほど恐ろしいものはない。ホスト国からメンツを失うほど面罵されることが往々にしてあり、なおかつそれが外に漏れるからである。

 鳩山由紀夫前首相も昨年、夕食会でオバマ大統領から米軍基地の国外移転に関し、「本当にやり通せるのか」とクギを刺された一件は記憶に新しい。恥をかかされた鳩山氏は以後、ホワイトハウスには一歩も入れなかった。

 米紙によると、18日夜の非公式夕食会でオバマ大統領は、胡錦濤国家主席に中国が北朝鮮に圧力をかけなければ、アジアにおいて米軍を増強せざるを得ないと詰め寄った。人権については推して知るべしだ。

 同席したのは、通訳を除けば、米側がオバマ氏、クリントン国務長官、ドニロン大統領補佐官だけ。中国側は側近が2人ほど同席した。翌日、国賓待遇で晩餐(ばんさん)会に臨んだ胡氏だが、居心地の悪い「アウェー」での食事会だったに違いない。

 記者会見や情報公開など開かれたイメージの強い米国だが、ワシントンに関していえば、密室での勝負ごとを得意とする。首脳会談を取材してそんな一端を垣間見た。(佐々木類)

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