Cooperation and Concern in the New Era of American-Chinese Relations

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[米中新時代]「協調と緊張」の関係へ

2011年1月23日 08時57分

 オバマ米大統領と中国の胡錦濤国家主席との首脳会談は「今後30年の土台を築く」(オバマ氏)歴史的な会談との位置づけだったが、一致した点と、埋め難い溝がくっきり浮かび上がった。

 両大国の協力はグローバルな課題解決に不可欠であるが、協力、競争、牽制(けんせい)が複雑に絡み合いながら進みそうである。日本は尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件でぎくしゃくした日中関係を立て直し、両大国の協力体制の構築に積極的な役割を果たしてもらいたい。

 両首脳は北朝鮮の核問題、韓国・延坪島砲撃事件について、韓国と北朝鮮による南北対話の重要性で一致した。北朝鮮の後ろ盾である中国が北朝鮮のウラン濃縮計画に初めて懸念を表明した。問題は北朝鮮に態度を変更させることができるかにかかっている。

 米紙は、オバマ氏が非公式夕食会で胡氏に厳しくくぎを刺したと報じている。オバマ氏は中国が北朝鮮のウラン濃縮計画など挑発行為をやめさせるよう働き掛けを強めなければ米軍を増強すると警告。胡氏は逆に講演で、米国が台湾へ武器売却を行えば米中関係が悪化すると牽制した。

 人権問題では、オバマ氏がノーベル賞受賞者の劉暁波氏の釈放を要求、胡氏は「内政干渉すべきでない」と突っぱねた。人民元改革でも隔たりがある。

 具体的な問題では両国の間で依然として溝が目立つが、戦後史の長いスパンでみると、両国関係は確実に好転している。

 世界経済は、もはや中国抜きに語ることはできない。

 米国にとっても、中国は米国債を保有する世界最大の国である。さらに米国、中国ともに相手国への投資額は伸びるばかりである。民間を含む経済的結び付きはこれまでになく強固なものになり、互いになくてはならぬ存在になっているのである。

 1949年に成立した中国は冷戦時代、米国とは対立陣営にいた。72年に当時のニクソン大統領が北京を訪問し毛沢東主席と会談。79年に国交を樹立した。78年には改革・開放政策を掲げ、冷戦が終焉(しゅうえん)した後も「社会主義市場経済」の路線を推し進めた。

 くしくも胡氏の訪米中に発表された2010年の国内総生産(GDP)は39兆7983億元(約500兆円)となり、日本をついに追い抜き世界第2位の経済大国の座を確実にした。経済のグローバル化が米中関係を変えたといえる。

 米中には貿易不均衡や人民元改革など経済摩擦がある。中国が航空機200機など総額約450億ドル(約3兆7千億円)に上る米国製品購入の商談を成立させたのは批判の矛先をかわす狙いもあろう。

 中国は都市と農村の所得格差、低賃金による労働争議の多発、温室効果ガスの最大排出国、内需型経済への転換、エネルギー消費削減などの課題を抱え不安定要素も多い。

 中国海軍は西太平洋まで活動範囲を拡大し米国と対立している。東アジアにおける覇権争いには警戒が必要だ。

 問題をはらみながら米中関係は新しい時代に入った。

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