ゲーツ長官発言 普天間問題の認識不足露呈
2011年2月21日
ゲーツ米国防長官が、普天間飛行場移設をめぐる代替施設問題の解決を「今春の終わりごろまでの解決を望んでいる」と発言し、波紋を広げている。
発言は、高まる沖縄での県内移設反対の声に無頓着か、あるいは無視か、迷走する日本の国内政治状況に無知、無関心な門外漢の発言としか思えない。
ゲーツ氏には、日米安保の危機的状況と在日、特に在沖米軍の置かれている嫌軍・反軍包囲網の厳しい“戦況”の正確な把握から始めてほしい。
普天間問題の現状を把握せず、強烈な移設反対のうねりに混乱し困惑する日本政府に「移設」を強要するゲーツ氏の動きは、日米安保と日米関係を危うくするものだ。
オバマ米大統領は、民衆革命によるエジプトをはじめ中東の民主化のうねりを高く評価している。
民衆の意思を無視する横暴な独裁者らが次々に民衆革命で退陣を余儀なくされている。
昨今の世界政治の動きやうねりは、住民意思を無視した政治と政治家の末路を示している。
「世界の警察」を自任する米国が、住民意思に反する政策を押し付け、同盟国の政策決定過程に介入し、意に反する決定を強いるような行為は厳に慎むべきであろう。
何につけても無理強いはいけない。ただでさえ、沖縄県内で多発する米軍犯罪や激化する爆音被害への反発が高まっている。嘉手納飛行場では、過去最大規模の爆音訴訟も起きている。
嫌軍・反軍のうねりを無視し、県知事すらも反対する新たな基地建設の強行を迫るなら、県民の反軍感情は反米感情に転じかねない。
沖縄のみならず、出口の見えない移設問題で米国に代わり「県民の説得」に右往左往している民主党政権内にも嫌軍・反軍と嫌米、反米感情を醸成しかねない。
唯一の覇権国・米国の国防長官には、世界情勢の正確な把握と分析に基づく冷静な発言が必要だ。
なにしろ、世界最大の軍備と危険な大量破壊・殺りく兵器を保有している。不用意な発言は、誤った戦争にすら世界を導きかねない。
実際、ベトナム戦争での米戦艦攻撃の偽情報による北爆開始、「大量破壊兵器を保有」の偽情報によるイラク攻撃など、米国軍が犯した過ちは過去に少なくない。
ゲーツ氏は民意に耳を傾け、問題を理解し真の解決に挑むべきだ。
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