【社説】韓米朝が面倒に思うカーター氏の訪朝
アイルランド、フィンランド、ノルウェーの元首相や元大統領らと共に北朝鮮を訪問した米国のカーター元大統領が28日、ソウルにやって来た。カーター氏は昨年8月にも北朝鮮を訪問したが、そのときも金正日(キム・ジョンイル)総書記には会えなかった。そのことを意識してか、今回は訪朝直前に「北朝鮮の食糧難の責任は韓国にある」とも受け取れるような発言で北朝鮮の機嫌を取り「金総書記と正恩(ジョンウン)氏に会いたい」と公の席で明言した。しかし今回もやはり、金総書記に会うことはできなかった。カーター氏はソウルで行われた会見で「金総書記は李明博(イ・ミョンバク)大統領といつでも会う準備ができている」と述べたが、これは金総書記が首脳会談に前向きなことが、何か大きなニュースでもあるかのような話し方だった。
カーター氏は平壌滞在中の27日、インターネット上に「北朝鮮は前提条件なしに韓国や米国との対話を望んでいるが、米国から安全面での保障が取り付けられない状況では、核を放棄することはないだろう。停戦協定が結ばれてから60年以上が過ぎても、いまだに南北が平和協定を締結できないのは悲劇だ」という趣旨の書き込みを行った。訪朝前は金総書記に会って非核化について話し合うとしていたが、その心意気はいつの間にか消え去り「平和協定なしに北朝鮮は核を放棄しない」という北朝鮮の言い分をそのまま発信した。北朝鮮が平和協定を求めるのはここ1、2年の話ではないが、それをあえて代弁するために、各国の元首相や元大統領まで引き連れ、わざわざ平壌まで行く必要があったのか疑問だ。
カーター氏の訪朝については、同じ(米)民主党のオバマ政権でさえも「個人次元」として一定の距離を置いている。韓国の外相はカーター氏を「第三者」と呼び、北朝鮮から持ってくるメッセージには重きを置かないと明言した。金総書記はクリントン元大統領が訪朝した際には、抑留中の人質を解放するという手土産を持たせたが、今回が2回目の訪朝となったカーター氏には、会うことさえしなかった。これはカーター氏に対して「これ以上利用価値がない」と判断したからに他ならない。
カーター氏の訪朝について北朝鮮自由連合のショルティー代表は28日「米国の元大統領が金正日政権の言い分を代弁し、韓国戦争(朝鮮戦争)を長引かせるのに一役買っている。これは非常に恥ずべきことだ」という声明を発表した。今やカーター氏も、南北間で自らの役割がなくなった事実を受け入れるべき時が来たようだ。
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