Is the “V-shape” Settlement Aiming to Alleviate Burdens Just Lip-service?

<--

[「V字形」決着へ]負担軽減は口先だけ?

2011年4月30日 09時21分 このエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録

 日米両国の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が6月までに開かれる見通しとなった。

 米軍普天間飛行場の移設問題は、今回の安保協が大きな節目になるだろう。民主党政権の下で、正式に、代替施設の位置、形状、工法などが決まるからだ。

 連休明けの7日には北沢俊美防衛相が仲井真弘多知事と会談し、これまでの協議内容を説明する。

 今回の安保協の意味を確認するため、これまでの経過を簡単におさらいしたい。

 政権交代が実現したことで鳩山政権は2009年9月、3党間で連立政権合意書を交わし、辺野古移設案の検証・見直し作業に着手した。

 政権交代によって普天間問題をめぐる県内世論は急速に変わった。鳩山由紀夫首相は、しかし、官僚の厚い壁に阻まれ、「最低でも県外」の選挙公約を実現することができなかった。鳩山首相による県民への説明、安保協の共同発表、閣議決定などの手続きを経て日米両政府は10年5月、辺野古回帰を確認した。

 これを受けて日米専門家会議は10年8月、滑走路2本のV字形案と、日本側から提案された滑走路1本のI字形案の両案を併記して結論を先送りした。

 安保協は、最終的にV字形案を採用する見通しだ。なんのことはない。大山鳴動ネズミ一匹である。

 安保協が地元の民意を無視してV字形案に合意するとすれば、問題は極めて重大だ。民主党はことの重大さに気づいているのだろうか。

 自民政権が06年に合意したV字形案に対しては、防衛庁長官と名護市長、宜野座村長との間で「基本合意書」が交わされた。防衛庁長官と県知事との間でも「基本確認書」が締結されている。

 両文書の性格をどう見るかについては、今でもさまざまな解釈があるが、時の政権がV字形案に対する地元の同意を必死に得ようとしていたことだけは確かだ。

 「地元同意」は必須欠くべからざるものなのである。

 政権交代で状況が変わり、今や、名護市も市議会も、県も県議会も、こぞって辺野古移設に反対している。県内の反対意思は明確である。

 日米両政府は、自民政権のV字形案を数十メートル沖合に移転する案を検討している。県の理解を得るために。

 しかし、政権交代前と今とでは、状況が異なる。沖合移転によって県や県議会の意思が揺らぐとは思えない。名護市は、なおさらである。

 グアム移転経費について、米太平洋軍は、日米合意額では足りないとの見通しを明らかにし、上方修正の可能性を示唆している。  

 米国のオバマ政権は、国防費の大幅削減計画を打ち出したばかり。菅政権は、東北大震災の復旧・復興事業に充てる財源のねん出に四苦八苦している。この時期に移転経費の増額なんて、とうてい考えられない。

 「地元沖縄の明確な意思」と「巨額の移転経費」。この二つが普天間問題の行方を左右しそうだ。

About this publication