Why Was the “Aha District Residents’ Assembly” Swayed So Quickly?

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Posted on June 16, 2011.

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[安波区民総会]なぜ急に「誘致」なのか

米軍普天間飛行場の代替施設受け入れをめぐる国頭村安波区の動きは、いたましくて、せつなくて、どうにもやりきれない。

 安波の集落を取り囲む山並みは生物多様性の宝庫だ。

 与那覇岳に源を発する安波川の清流が、区内を流れて太平洋に注ぎ、国指定天然記念物のタナガーグムイの植物群落や、県指定天然記念物のサキシマスオウノキ群落が、人々の目を楽しませる。

 動植物などの生態系の豊かさは本島随一といっていい。

 強い絆でふるさとの土地と自然を守り育ててきた安波区の住民が筋の通らない話に引っかかって二分されるのは、なんとも口惜しい限りだ。

 推進派は「各家庭に1千万円の生活支援金」というエサを、根拠もないまま流している。日米両政府が辺野古案を検討していた時にも、誰が流したかは知らないが、「各家庭に○○○円」という類いの話が飛び交っていた。

 いつもこんな調子だ。基地や原発の問題には、この種の話がいつもついて回る。

 区民総会では「受け入れに向けて政府と交渉すること」について採決した。投票総数125人のうち賛成75人、反対50人。ただし、125人のうち37人は委任状で、そのほとんどが賛成だった。

 本来ならたっぷり時間をかけて議論を尽くし、それでも意見が割れ集約が難しければ、誘致を見送るのが普通だ。ところが、今回は、21日に開かれる予定の日米安全保障協議委員会(2プラス2)に間に合うようにとの計算から、採決に持ち込んだようだ。

 性急な手法が、この土地に根付いた地域民主主義や独自の意思決定システムを壊すことにならないか心配だ。

 委任状が37人もおり、そのほとんどが賛成だったということにも、地元から疑問の声が上がっている。

 正直言って、この採決結果を基に、政府と基地受け入れ交渉に入るのは、あまりにも強引すぎる。

 宮城馨国頭村長は移設反対の姿勢を鮮明に打ち出している。渋井登志代区長は、政府に行く前に、まず村当局と話し合うべきだ。

 推進派が示した資料や数字の出所はどこなのか。それをまず全区民に明らかにする。出所が分かればその情報源に質問状を出し、事実関係をはっきりさせる。別の情報や異なる資料も準備し、推進派と反対派がもう一度、虚心に議論を積み重ねる。

 基地受け入れ論議でもっとも重要なのは手続きだ。手続きを軽視してはいけない。

 菅政権は風前のともしび、ポスト菅政権も五里霧中。普天間問題のもつれた糸を解きほぐす力は菅政権にはない。

 そのような政治状況の中で、日米安保協に間に合わせて普天間受け入れを表明するという判断の狙いが、さっぱりわからない。一体、誰が入れ知恵したのか。

 「沖縄はやっぱりカネか」という間違ったメッセージを国民に送ることにもなりかねない。沖縄にとっては大きなマイナスだ。県全体の立場で考える視点も忘れないでほしい。

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