Objection to Perfidious Introduction of New U.S. Military Aircraft

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米軍新型機―不実な導入に異議あり

 米政府は先月、米海兵隊の新型輸送機オスプレイを24機、来年10月から沖縄県の普天間飛行場に配備していく計画を明らかにした。これを受けて、日本政府もやっと重い口を開き、地元自治体に正式に伝えた。

 オスプレイはヘリコプターのような上下動も、飛行機のような高速の水平飛行もできる。現在の輸送ヘリに比べて速度は2倍、エンジン出力は3倍あり、航続距離は4倍に延びる。

 これほどの高性能機が導入されたら、普天間飛行場は返還されるどころか、将来も固定化されてしまうのではないか。

 こんな疑念が膨らみ、沖縄側は導入を受け入れる環境にはない。仲井真弘多知事は政府に反対を訴え、飛行場のある宜野湾市などでは抗議集会や撤回を求める決議が相次いでいる。

 根っこには、導入をひた隠しにしてきた日本政府の不実な対応への強い不信感がある。

 米側が1996年、普天間返還を盛り込んだ日米特別行動委員会(SACO)の文書案に、オスプレイの機種名を書き込もうとした際に、日本側の要請で削除されたことが公開された公文書で判明している。

 さらに民主党に政権交代したあとも、「正式な通告がない」という態度を続けてきた。

 これほど露骨に沖縄県民や国内の世論をないがしろにして、結果として欺いてきたことが信じられない。

 安全性や騒音への懸念も大きい。開発段階で4度、墜落し、30人が犠牲になっている。米軍の正式導入後も、アフガニスタンで墜落した。騒音も「より静かになる」という日米両政府の説明には疑問符がつく。

 それでも日本政府は「単なる機種の更新」であり、拒否する法的な権限はないという。それに同機以外の選択肢も見あたらないという見解だ。

 だが、本当にそうなのか。

 たとえば、仲井真知事はオスプレイの航続距離の長さに着目し「県外でも運用できる」と主張している。この見方には一定の説得性がある。

 民主党政権は普天間から九州への訓練移転を探ったが、現有ヘリの航続距離の短さが一因で頓挫した経緯があるからだ。

 先の日米協議で、普天間の移設完了目標2014年の先送りを決めた。それだけに新型機を導入する前に、政府は訓練の県外移転の可能性や別の選択肢の有無などを、米側と改めて協議すべきだ。

 そうした姿勢こそが沖縄の信頼を回復する道につながる。導入をごり押ししてはいけない。

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