Pressing Specific Actions toward North Korean Non-Proliferation

<--

6か国協議を再開するだけでは意味がない。朝鮮半島の非核化が実質的に進展するよう、北朝鮮に「具体的行動」を迫り続けることが肝要だ。

松本外相、クリントン米国務長官、韓国の金星煥外交通商相がインドネシア・バリ島で会談し、共同声明を発表した。

声明は、6か国協議を再開する前提として、北朝鮮に「真摯(しんし)かつ建設的な南北対話を含めた誠意ある努力」を求めた。「非核化に対する真のコミットメント(確約)を示すための具体的行動をとる」ことも促している。

北朝鮮は昨年、韓国軍哨戒艦の撃沈、延坪島砲撃に加え、ウラン濃縮活動の公表まで行った。

一切を不問にする形で、6か国協議を再開するのは、筋が通らない。北朝鮮が核放棄に向けて具体的な行動を約束することが、再開の最低限の条件となるべきだ。

その意味で、まず南北対話、次に米朝協議を経て、6か国協議を再開するという日米韓の「3段階」論は、妥当な考えと言えよう。

北朝鮮は、「韓国の李明博政権は相手にしない」という強硬姿勢を示していたが、今回、2年7か月ぶりに韓国との高官協議に応じた。経済的困窮が続く中、対話路線にカジを切ったのだろう。

相手国を激しく非難したり、一転して取引を持ちかけたりするのは、北朝鮮の常套(じょうとう)手段だ。過剰な反応は禁物である。日米韓は、3か国の結束を固めたうえ、冷静に対応する必要がある。

6か国協議の議長国である中国の役割も大きい。事態を傍観することなく、北朝鮮に歩み寄るよう説得することが責務だ。

日米韓は昨年以降、米韓合同軍事演習に自衛隊がオブザーバー参加するなど、軍事協力を拡充している。こうした協力は、北朝鮮の軍事的な挑発行為を抑止するうえで重要だ。着実に推進したい。

外相会談の声明は、北朝鮮に対し「拉致問題を解決するための行動をとる」ことも呼びかけた。

拉致問題は、2008年9月に北朝鮮が再調査の約束を一方的に破棄して以来、停滞している。

今月中旬には、中野拉致問題相が訪韓し、玄仁沢統一相らと情報・意見交換を行った。この種の協議ができるのも、李政権下での日韓関係改善の効用と言える。

米国は来年11月、韓国は来年12月に、それぞれ大統領選を予定している。日米韓は、連携が順調な今が北朝鮮問題を前進させる好機だととらえ、具体的な成果を生むよう全力を挙げねばならない。

About this publication