Rush to Rebuild Japan-U.S. Alliance

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日米を軸に外交の立て直しを急げ

2011/9/6付

 2009年秋に政権が交代して以来、停滞が続いている日本の外交を立て直すにはどうすればよいのか。言うまでもなく、まず必要なのは外交と安全保障の柱である日米関係の再構築だ。

 野田佳彦首相の発言を聞くかぎり、日米同盟を軸にしようという姿勢は鮮明だ。就任直後の記者会見で「軸になるのは日米関係だ」と力説し、初閣議でもそうした基本方針をかかげた。中国や韓国とは互いに恩恵を得られる「ウィンウィンの関係」をめざすという。

 この方向性は正しい。野田首相は9月下旬にニューヨークでの国連総会に出席し、オバマ米大統領と会談する。まずは鳩山政権以来、傷ついたままの日米同盟を修復し、深める路線を確認してほしい。

 もっとも、言葉だけの外交なら菅直人前首相もそれなりにやってきた。それでも同盟が揺らいでいるのは、菅氏が口では日米基軸と言いながら、必要な行動をほとんど先送りしてきたからだ。

 その後を継いだ野田首相に必要なのは言葉ではなく、同盟を深めるための目に見える行動だ。では、具体的にどうすればよいのか。

 いちばん大切な指針となるのが、6月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で採択した共同声明だ。

 日米はこの中で、中国に「国際的な行動規範の順守」を促していくことなどを共通目標にすえ、そのための同盟の強化策を並べた。緊急時の行動計画づくりや、共同訓練・運用の拡大も含まれる。

 盛り込まれた強化策には実務レベルで進められるものが多い。野田首相は事務方に明確な指示を出し、米側との調整を急いでほしい。

 日米関係の再構築には、懸案になっている米軍普天間基地の移設問題も避けて通れない。このままでは現行の移設案が事実上の白紙となり、家や学校の密集地にある普天間の現状が固定されかねない。

 これは地元にも最悪の結末だ。野田首相はまずそうした見通しを率直に沖縄側に説明すべきだ。そのうえで現状固定を防ぐため、沖縄とぎりぎりの打開策を探る必要がある。

 日本は、中国やロシアとの外交も足踏みしている。中ロとの関係を打開するうえでも、強い日米同盟が役立つ。中ロは日本の背後に米国の姿も見ているからだ。

 いくら同盟の結束を強めても、日米への中ロの警戒心が一気に強まるようでは、アジアの緊張は高まる。そうならないよう中ロとの対話も合わせて加速する必要がある。

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