The Anti-Inequality Demonstration: Public Indignation for a Just Society

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アン・フェアなことを嫌う米国市民の公正性や平等な社会を求める公憤として、動向を注視したい。米ニューヨークのウォール街で9月17日に始まり、4週目に入った反格差社会デモのことだ。

 富裕層や大企業など「富める1%」を鋭く批判し「われわれは99%だ」と叫ぶ。デモは米国民の怒りを集め全米に波及している。

 職のない若者らがインターネットの交流サイト「フェイスブック」などで呼び掛ける手法は、独裁政権を崩壊させた民主化運動「アラブの春」を想起させる。ただ、民主国家・米国の反格差デモとそれを同列には論じられまい。各地の「民衆蜂起」を過小評価も矮小(わいしょう)化もせず真摯(しんし)に受け止めたい。

 オバマ大統領は抗議デモについて、金融危機を招きながら金融規制改革に反対する「無責任な」大企業への「米国民のいらだちの表れだ」とした。だが、理由はそれだけか。市民の主張を素直に聞けば、積年の経済政策の失敗をも鋭く問うていると考えるのが自然だ。

 国家は租税や社会保障、公共事業などを通じた所得再分配によって格差と貧困を抑えるのが本来の姿だ。その意味で反格差デモが起こること自体、米中枢の機能不全を物語る。財政と車の両輪を成す経済成長戦略が機能していない証左でもあろう。では格差、貧困の問題をどう解きほぐしていくか。

 2008年のリーマン・ショック後、米国で650万の職が消えたという。昨年の米国の貧困人口は、統計を取り始めて最多の4618万人に達した。有効な雇用対策や貧困対策を講じ切れていないオバマ政権の責任は重大だ。

 一方で全米人口に占める貧困層(4人家族で年収約2万2千ドル以下)の割合は10年前の11・3%から10年の15・1%まで増加傾向にあり、この間のブッシュ共和党政権も責任を免れない。

 米国の格差拡大の背景には、ITバブル崩壊やグローバル化に伴う企業の海外移転などの要因がある。ならば、こうした政策を支えた市場原理主義的な経済思想の問題点も洗い出し、その上で格差解消の処方箋を描くのが筋だろう。

 反格差デモは、グローバル経済下にある日本など各国も人ごとではない。だからこそ、米国民や民主、共和両党には、責任のなすり合いではなく、格差と貧困の解消へ向け建設的議論を期待したい。

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