Japan-U.S. Defense Ministers Conference: Expanding Cooperation in the Alliance for Stability in Asia

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日米防衛相会談 アジア安定へ同盟協力拡充を

 アジア太平洋の平和と安定を確保するには、日米の防衛協力を拡充し、同盟の実効性を高めることが肝要である。

 パネッタ米国防長官が初来日し、野田首相、一川防衛相、玄葉外相らと会談した。長官は一連の会談で、「米国は太平洋国家であり、この地域で軍事力のプレゼンス(存在)をしっかりと維持する」と強調した。

 米政府は財政難から国防費の大幅な削減を検討している。その中で、パネッタ長官が在アジア米軍の抑止力を堅持する方針を表明したことを重く受け止めたい。

 ただ、それはアジアの安全保障環境が不安定であることの裏返しでもある。北朝鮮の脅威に加え、中国は急速に軍備を増強・近代化し、自己主張を強めている。

 日米両国が平時から防衛協力を深め、不測の事態に対処できる体制を整えることが欠かせない。

 一川防衛相とパネッタ長官は、自衛隊と米軍の共同演習や基地の共同使用、共同の警戒監視活動などを拡大することで合意した。

 自衛隊と米軍は毎年、様々な共同訓練を実施している。その内容を充実させ、より現実に即したものにしていくことが大切だ。

 昨年12月には、日米の共同統合演習に韓国軍幹部が初めてオブザーバー参加した。韓国だけでなく、豪州やインド、東南アジア諸国との協力を強化し、日米同盟を中軸に多国間協力のネットワークを拡大することが重要となる。

 在日米軍基地の共同使用は、日米連携を緊密化する。自衛隊が基地周辺住民の要望を米軍に伝えるなど、仲介役を果たす可能性もある。着実に進めたい。

 日米共同の警戒監視活動は、南西方面を中心に、海と空での自衛隊と米軍の緊密な役割分担と情報共有につながる。昨年末に策定した防衛大綱の「動的防衛力」を具体化する意義も持つだろう。

 米軍普天間飛行場の移設問題で一川防衛相は、代替施設の環境影響評価書を年内に沖縄県に提出する方針をパネッタ長官に説明し、辺野古移設をできるだけ早く進めることで一致した。

 民主党政権は、迷走の末、昨年5月に辺野古移設の方針を決定した後、問題を前進させるための具体的な努力を怠ってきた。

 評価書提出は、普天間問題と連動した在沖縄海兵隊のグアム移転を進めるための重要な一歩だが、肝心なのは辺野古移設の実現だ。野田首相は、沖縄振興も含めた沖縄県との包括的合意に向けた確固たる決意と行動が求められる。

(2011年10月26日01時23分 読売新聞)

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