America’s New Asia Strategy

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「太平洋国家」として米国が、外交・安全保障と経済政策の軸足をこの地域に置く戦略的決断を下した意味は大きい。

オバマ米大統領がオーストラリアで演説し、アジア太平洋を最重要地域と位置づけ、米国の役割を長期にわたり拡大していく方針を表明した。

10年に及んだ対テロ戦争が終局を迎え、イラクからもアフガニスタンからも米軍は撤収していく。アジア太平洋における強力な軍事的プレゼンス(存在)の堅持が、可能になると言える。

大統領は、財政赤字削減のため国防費も減らす中、この地域だけは影響を受けないと確約した。

米国の新戦略は、地域の安定と繁栄に寄与し、歓迎できる。日米同盟の役割も重みを増そう。

新戦略の背景に、軍事、経済で台頭した膨張中国の存在がある。問題は、中国の軍拡で地域の安保環境が変化していることだ。

中国は、「核心的利益」とみなす南シナ海の領有権を主張し、ベトナムなど東南アジアの近隣国と軋轢あつれきを生じている。

米国防総省は今夏、中国の軍事力に関する年次報告書で、中国が“空母キラー”といわれる対艦弾道ミサイルの開発など、西太平洋で米空母の展開を阻む「接近拒否」戦略の実行能力を向上させていることに警戒をあらわにした。

米豪両国が、米海兵隊の豪州駐留で合意したのは、こうした安保環境の変化に対応した措置の一環だ。海兵隊は来年からダーウィンの豪軍基地に常駐し、将来は2500人規模に増やすという。

沖縄や韓国などの駐留米軍は、すでに中国の弾道ミサイルの射程内にある。射程外にも米軍の行動拠点を確保することは、抑止力を強化する上で欠かせない。

中国は、米国に次ぐ世界2位の経済大国になったが、それに見合う責任ある行動をとるどころか、人民元の切り上げぺースも遅く、知的財産権を無視した違法コピー製品も絶えない。

「国際法や慣習、通商や航行の自由」が守られる国際秩序、「自由で公正な貿易、明確なルール」に基づく開かれた国際経済システムを追求しようというオバマ大統領の主張は正しい。

中国には、国際規範に基づく行動を粘り強く促す必要がある。

アジア太平洋地域の繁栄を維持することは、日米それぞれの成長戦略に直結する共通の課題である。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を通じた日米連携の強化も、地域の安定につながろう。

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