East Asia Summit: Can “Island of Military Bases” Become “Island of Dialogue”?

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米国と中国がつばぜり合いを繰り広げている。緊張が高まった結果、国内のナショナリズムに火が付いてしまえば、政府も収拾できない事態になりかねない。

 アジアの海をパワーゲームの舞台にはしたくない。緊張が激化しないよう、両国は冷静かつ慎重に交渉を続けてほしい。日本もASEAN(東南アジア諸国連合)も、緊張緩和に向け最大限の努力を払いたい。

 東アジアサミットは今回から米ロが参加し18カ国となったが、最大の焦点は南シナ海問題だった。

 オバマ米大統領は航行・通商の自由、係争の平和的解決を求め、「武力行使や脅迫は受け入れられない」と述べた。中国の温家宝首相は「この問題を東アジアサミットで取り上げるのは適切でない」と反論したが、他の参加国もほとんどがこの問題を提起した。

 流れは明らかだ。航行に関する国連海洋法条約順守、法的拘束力のある行動規範作りに中国もかじを切るべきだ。

 海洋交通の安全は経済成長に不可欠だ。海洋権益を確保しようとするあまり、軍事的威嚇をするのは周辺国の猛烈な反発を招き、権益はかえって揺らぐ。当事者国との友好関係が極めて重要だ。一見迂遠(うえん)なそうした道のりこそが永続的な相互利益をもたらすことを、中国には理解してほしい。

 ただ中国国内では対外強硬論が高まっており、今回の件でさらに高まりかねないのが気掛かりだ。

 一方、米国のアジア関与強化も鮮明になりつつある。アフガニスタン・イラク戦争で国力が疲弊し、米国はもはや全世界を相手にできなくなった。加えて、経済情勢悪化への国民の不満は高い。そこで今後世界の政治経済の中心になるアジアに資源を集中し、成長の糧を求めようとしている。

 国益をかけ、双方とも引かない姿勢だが、世論の不満を動力とする緊張は怖い。政権批判を恐れ、容易に緩和できないからだ。緊張は一層の緊張を呼び、悪循環になりかねない。

 野田佳彦首相は各国政府と民間有識者との意見交換の場を提起した。沖縄は米国、中国、東南アジアのいずれとも歴史的に深い関係がある。意見交換にこれ以上ふさわしい場所もあるまい。

 尖閣のある東シナ海も含め、西太平洋を友好の海にしたい。沖縄を「基地の島」でなく「対話の島」にし、緊張緩和に貢献したい。

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