Learning the Lesson of Competition in the Sky

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Posted on December 16, 2011.

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高コスト体質を改善して経営効率を高めなければ、世界の空の熾烈しれつな競争には生き残れないということだろう。

 

米航空3位アメリカン航空の親会社AMRが、米連邦破産法11章の適用を申請した。負債総額は約300億ドル(約2兆3000億円)に達し、米航空界では2番目の大型破綻だ。

アメリカンは、かつて世界最大手の地位を誇った名門航空会社である。50か国以上で1日平均3300便を運航している。

だが、ライバル社が合併による路線拡大や新型機導入などで業績改善を進めたのに対し、改革が遅れ、赤字経営が続いていた。

2001年の米同時テロ以降の顧客離れ、原油高に伴う燃料費上昇、急成長する格安航空会社の攻勢などで、従来のビジネスモデルが通用しなくなったためだ。

アメリカンは今後、事業を継続しながら再建を目指すが、破産法申請後に業績をV字回復させた米ゼネラル・モーターズ(GM)の例もある。徹底したリストラで収益力を高める体質に生まれ変われるかが問われよう。

アメリカンが最終的に破産法申請に追い込まれたのは、人件費削減を巡る労使交渉の行き詰まりが主因だ。年金や退職者給付などの大幅カットに踏み切ることが再生への必要条件と言える。

米国では、この10年間で航空大手5社が破綻した。このうち、ユナイテッド航空は02年の破綻後、10年にコンチネンタル航空と統合し、最大手として復活した。

デルタ航空も05年に破綻した後、08年にノースウエスト航空との合併で2位に浮上した。

最重要課題でありながら先送りしてきたコスト削減を、破産法申請をテコに実現して、再編による規模拡大でさらなる効率化を目指す――。それが米航空業界の「再生の方程式」となっている。

アメリカン破綻は、日本の航空大手にも重い教訓となる。

格安航空会社を意識し、効率的な航空機材の導入や路線計画を進め、収益性が高いビジネス客をどう取り込むか。アメリカンが直面した課題は日本勢も共通する。

経営再建中の日本航空は、アメリカンと同じ航空連合に加盟し、日米路線で共同運航を行う親密な関係にある。アメリカンの不採算路線の縮小などが、日航の再建計画に影響を与えないか、注視する必要があろう。

全日本空輸も、競争を勝ち抜くには、コスト構造をさらに見直す経営努力を怠ってはなるまい。

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