質問なるほドリ:米国の雇用はなぜ改善しないの?=回答・平地修
<NEWS NAVIGATOR>
◇欧州危機で景気回復遅れ 大統領選前に与野党対立も
なるほドリ 米国の雇用状況の悪さが来年の大統領選の焦点になってるみたい
だね。
記者 戦後最悪の金融危機を引き起こした08年9月のリーマン・ショック前
後の景気後退で、米国では850万人以上が職を失いました。職に就きたくても
就けない人の比率を表す失業率は、07年に4%台で推移していましたが、金融
危機によって9%台に上昇し、09年10月には10・1%になりました。その
後も回復のペースは鈍く、ほとんどの月で9%を超えています。今年11月は
8・6%に改善しましたが、職探しをあきらめた人が増えたことが一因と言われ
ており、楽観はできません。また、平均的な失業期間は11月で40・9週と長
期化が顕著になっていることも問題です。
Q リーマン・ショックからもう3年以上たつけど、どうしてよくならない
の?
A 米国の景気回復のペースが遅いことが大きな原因です。経済成長率は09
年のマイナス3・5%から、10年にはプラス3%に改善しましたが、11年は
減速し、1%台の低成長にとどまる見通しです。欧州の債務危機などで世界経済
の先行きが暗く、企業がなかなか雇用を増やせない状況が続いており、金融危機
で財政状況が悪化した地方政府などが人員を減らしていることも原因です。ま
た、多くの人手が必要な製造業が海外に工場を移したり、人手をあまり必要とし
ないソフトウエア関連などの産業が成長していることも、雇用が増えにくい一因
となっているようです。
Q オバマ大統領は手を打っているの?
A 09年1月に就任したオバマ大統領は、総額8000億ドル(約62兆
円)を危機対応につぎ込み、景気や雇用を下支えしましたが、その効果もほとん
どはげ落ちてしまいました。一方、住宅バブルの崩壊で住宅ローンなど多額の債
務を負っている人がいまだ多く、米国経済の約7割を占める消費が伸び悩むなど務を負っている人がいまだ多く、米国経済の約7割を占める消費が伸び悩むなど
景気や雇用回復の足かせになっています。
Q 次の対策が必要だね。
A 金融危機時にお金を使い過ぎて、国の借金は15兆ドル(約1170兆
円)に膨れ上がっています。オバマ大統領は4470億ドルの雇用対策を提案し
ましたが、増税などの財源確保策で与野党が対立し、実現できていません。来年
11月の大統領選を前に与野党の対立は深刻化しており、政策の行き詰まりが雇
用の回復を遅らせる恐れが出ています。(北米総局)
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