What to Grasp from the Free-for-All US Presidential Election

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混戦の米大統領選から何を読み取るか

11月の米大統領選をにらみ、オバマ大統領と対決する野党・共和党の候補者選びが熱を帯びている。日本としても論戦に目をこらし、その底流にある米世論の動きを注意深く読み取っていきたい。

3戦目となったサウスカロライナ州での共和党の予備選は、ギングリッチ元下院議長に軍配が上がった。初戦のアイオワ州はサントラム元上院議員、次のニューハンプシャー州ではロムニー前マサチューセッツ州知事が勝った。

最終的には弁舌巧みなギングリッチ氏と、資金力にまさるロムニー氏の争いになるとの観測が多いが、緒戦で次々と勝者が入れ替わるという異例の混戦である。

最大の争点は景気の回復や財政の立て直しだ。各候補とも保守層を意識し、減税や規制の緩和策を競っている。

論戦から直ちに外交・安全保障政策の行方を占うのは容易ではないが、気がかりな米世論の一端もうかがえる。

そのひとつが、不況が長びくなか、米国内に孤立主義の誘惑がくすぶっているように見えることだ。アイオワ、ニューハンプシャー両州では、泡沫(ほうまつ)と目されていたポール下院議員が3位以内に入った。

同氏は徹底して「小さな政府」を求め、対外的には海外からの米軍の全面撤収を唱えている。こうした極端な主張が多いにもかかわらず、同氏に一定の票が集まる米国内の空気を軽視してはならないだろう。

ロムニー氏や他の共和党候補は孤立主義とは一線を画している。ただ、穏健路線のオバマ政権との違いを強調しようとするあまり、外交や安全保障政策で強硬論を競い合う傾向も見受けられる。

例えば、イランの核開発問題をめぐっては、核放棄に応じないなら攻撃を辞さないとの主張も聞かれる。混戦模様のなか、ちみつな政策論争より、中傷合戦が激しさを増しているようにも思える。

今年は中国やロシア、フランス、韓国でも指導者の交代や大統領選がある。世界がそうした重要な節目にあることも踏まえ、より冷静な論戦を期待したい。

アジア太平洋の平和と繁栄には米国の強い関与と米軍の存在が欠かせない。外交・安保政策の論戦では同盟国の視点も踏まえてもらえるよう、日本としてもこれまで以上にオバマ政権、共和党の双方との対話を増やしてほしい。

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