Government Needs to Stop Osprey

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米政府は、墜落事故が相次ぐ米軍の新型輸送機オスプレイを沖縄県の普天間飛行場に配備すると日本政府に通告した。これを受けて森本防衛相は沖縄、山口両県に出向き、知事らにその内容を説明した。

だが、森本氏は話をする相手を間違っている。米政府にこそ配備を強行せぬよう「待った」をかけるべきだ。

米政府は、オスプレイ12機を7月下旬に山口県の岩国基地に船で運び込む。当初は岩国での試験飛行をへて普天間に移す予定だったが、その後、最近の2件の墜落事故の調査結果が出る8月まで試験飛行を見合わせると方針を変えた。

米政府は日本側の懸念に配慮したという。それでも、10月からオスプレイを普天間で運用するという計画は変えていない。

米軍の日本政府への説明によると、4月のモロッコでの海兵隊機の墜落では、機体に不具合はなかったと断定し、人為的ミスを強く示唆している。

6月の米・フロリダでの空軍機の事故の詳細は不明だが、空軍はその後も「飛行は安全だ」として使い続けている。

オスプレイは、機体の両脇についた回転翼を90度傾けることで、垂直飛行と飛行機並みの水平飛行ができる特異な形の航空機だ。機体に問題がないのに事故が相次ぐということは、素直に考えれば操縦が難しいということではないか。

実際、海兵隊用のオスプレイの飛行時間10万時間あたりの事故率は1.93で、いま普天間に配備されている輸送ヘリCH46の1.11より高い。飛行時間が2万時間あまりしかない空軍用にいたっては13.47だ。

住宅地の真ん中にあり、沖縄県民が県外移転を強く求めている普天間飛行場だ。墜落の危険が大きい航空機が配備されることは、住民には耐え難い。知事が激しく抗議したのは当然だ。

今後、米側が何らかの欠陥を認めるとは考えにくい。それでも配備を認めれば、県民の気持ちを逆なでするだけだ。

そのあげくに事故が起きてしまえば、日米同盟が取り返しのつかない危機に陥るだろうことは、日米両政府ともわかっているはずだ。

森本氏は、配備の変更を求める権限は日本にはないという。条約上はその通りだし、戦略上もあり得ないというのが、軍事専門家としての森本氏の理解なのだろう。

だが、いま求められているのは日本の防衛相としての政治的な判断だ。向き合う相手は米国であることを忘れては困る。

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