Supporting Policies Against the Economic Downturn and Slumping US GDP

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米国経済の減速が、一段と鮮明になってきた。思い切った景気テコ入れ策が求められよう。

米国政府が発表した2012年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、前期比年率で1・5%増にとどまった。1%台の低成長は、3四半期ぶりである。

失業率が8%台に高止まりするなど雇用悪化に伴って、個人消費が伸び悩み、企業の設備投資が低調だったことが主因だ。欧州債務危機の再燃にも影響を受けた。

米国経済は昨年末、いったん景気回復の軌道に乗ったように見えたが、勢いは続かなかった。

米国景気の足踏みは続き、今年後半から来年にかけ、さらに減速するという観測も出ている。

スペインの財政不安拡大に対し、独仏首脳が「あらゆる措置を取る」ことで合意したが、先行きは不透明だ。欧米経済の不振は、世界経済の波乱要素と言える。

問題は、景気を下支えする米国の財政・金融政策に手詰まり感があることだ。

ブッシュ前大統領が01年以降に実施した所得税減税などの大型減税措置は今年末に失効する。財政再建を目指す与野党合意により、来年から政府歳出の強制削減措置も発動される予定だ。

ブッシュ減税失効による事実上の増税と、巨額の歳出カットは、「財政の崖」と呼ばれる。

崖から転落するような超緊縮財政は景気にマイナスだ。ショックを和らげようと、オバマ大統領が中低所得層向けの減税延長を提案したのはもっともである。

しかし、11月の大統領選に向けて対決色を強める野党共和党は富裕層を含めた減税延長を求め、歩み寄りはうかがえない。決着は選挙後に持ち越されそうだ。

適切な財政政策をすぐに打ち出せない以上、当面は、金融政策の下支え効果に期待が高まろう。

米連邦準備制度理事会(FRB)は6月末、長期国債の保有比率を高めて長期金利の低下を促す金融緩和策を半年延長した。だが、市場の焦点だった量的緩和策の第3弾(QE3)は見送った。

雇用情勢の悪化が止まらず、欧州危機拡大で市場が混乱する場合には、QE3を含め、追加策をためらうべきではあるまい。

ただ、FRBの追加策は、ドルやユーロに対する歴史的な超円高を加速させ、日本の景気に深刻な影響を与える可能性がある。政府・日銀は警戒を強め、円高阻止の為替介入や、一段の金融緩和策を検討してもらいたい。

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