Seeing through the Deceit of the US and Japanese Governments

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米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイをめぐり、10県の知事が沖縄配備や低空飛行訓練の両方、もしくはいずれかについて「容認しない」としている。安全性を確認できないことが理由で、琉球新報社が47都道府県知事に実施したアンケートで分かった。

 「国の専管事項」といわれる外交・防衛に関わる問題であっても、住民の生命と財産を脅かすのであれば、住民保護の観点から知事が国策に異を唱えるのは当然の姿勢だ。41人の知事が安全性を懸念し「政府の国民への説明が不十分」としたのもうなずける。

 和歌山、岡山、広島、山口、徳島、高知、沖縄の7県知事は、安全性への懸念から沖縄配備を明確に「容認しない」と回答した。

 本州での低空飛行訓練については山形、長野、和歌山、岡山、山口、徳島、愛媛、高知の8県が「容認しない」とした。

 飛行訓練に直接関わりのない都道府県を中心に意見保留も目立った。この点は、各知事の間で危機感の共有不足の感も否めない。

 各知事の認識に温度差があるのは、情報格差が一因と考えられる。

 オスプレイの事故率について、米政府は200万ドル以上の損害や死者発生などのクラスAを対象に算出し、海兵隊のMV22の事故率は「1・93」、空軍のCV22は「13・47」としている。

 しかし、50万ドル以上、200万ドル未満の損害や一部永久的な障がいが残るけが人発生のクラスB、50万ドル未満の損害や致命的でないけが人発生のクラスCまで含めると、事故はMV22が2006年以降30件以上、CV22が05年10月以降少なくとも31件発生。クラスB、Cの事故を切り捨てた事故率は欺瞞(ぎまん)に満ちている。

 両政府は米専門家が指摘する性能上の問題も隠すか過小評価している。命に関わる問題だけに両政府の隠蔽(いんぺい)体質は犯罪的ですらある。

 日米同盟を容認する各地の知事がオスプレイの配備や低空飛行訓練を問題視している現実を、両政府は深刻に受け止めるべきだ。

 事は安保容認か否かという次元を超えた、命に関わる大事だ。人命、人権を軽んじ配備を強行すれば、反対論はいずれ制御不能になるだろう。両政府は度を越した軍事優先主義や視野狭窄(きょうさく)によって日米関係を破壊しかけている自らの愚かさに、気付いていいころだ。

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