Four Years After Lehman Brothers, Global Economic Recovery Still Faces Challenges

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リーマン4年 世界経済の再生へ試練は続く(9月18日付・読売社説)

 リーマン・ショックから15日で4年過ぎたが、世界経済は低迷から抜け出せない。

 米欧の中央銀行が決めた追加策で活路を開けるだろうか。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、2008年と10年に続き、金融市場に資金を大量に供給する量的緩和策第3弾(QE3)を導入した。

 住宅ローンを担保にした証券を月額400億ドル(約3・1兆円)購入する内容だ。

 「2014年終盤まで」としていた事実上のゼロ金利政策についても、「15年半ばまで」に延長する方針を打ち出した。

 「切り札」とされる大胆な策に踏み込み、雇用増につながる景気浮揚を狙ったものだ。強い危機感に背中を押されたのだろう。

 このところ、米国の経済指標の悪化が目立つ。4~6月期の実質国内総生産(GDP)の伸び率は年率1・7%増に鈍化し、失業率は8%台に高止まりする。

 リーマン・ショック後、財政と金融政策が総動員された結果、米国経済はいったん持ち直した。だが、雇用悪化が止まらず、景気回復軌道に乗り切れない。

 政府が巨額の財政赤字を抱え、今は財政政策を発動しにくいことが4年前との違いだ。金融政策に頼るしかないが、雇用改善にどれだけ効果があるかは不透明だ。難しい舵(かじ)取りを迫られよう。

 米国以上に懸念されるのが、出口が見えない欧州債務危機だ。

 欧州中央銀行(ECB)は、財政悪化で信用不安に陥ったスペインなどの国債を無制限に購入する対策をようやく決めた。

 危機封じ込めへ、一歩前進だが、対応が後手に回ってきた欧州に求められるのはスピードだ。

 信用不安国の国債をECBと協調して買い取るユーロ圏の欧州安定メカニズム(ESM)の本格稼働を急いでもらいたい。スペインは速やかに支援を求め、独仏両国などが結束する必要がある。

 ただし、ECBやESMの支援は当面の猶予策に過ぎない。スペインや欧州危機の震源地であるギリシャなどは、抜本的な財政再建といった経済構造改革に取り組むことが不可欠である。

 リーマン・ショック後、世界経済を牽引(けんいん)した中国、ブラジルなど新興国の景気が急減速していることも不安材料だ。超円高は輸出産業に打撃を与え、日本の景気回復も足踏みしている。一段の円高を警戒しなければならない。

 世界経済の再生は道半ばだ。先進国と新興国が連携を強化する一層の努力が求められよう。

(2012年9月18日01時24分 読売新聞)

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