Hurry Up and End America's Financial Mayhem

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 米国の与野党が包括的な財政再建策で折り合えず、約10年間で1.2兆ドル(約112兆円)の歳出を強制的に削減することになった。国防や交通などの幅広い分野で不都合が生じる恐れがある。

 2013会計年度(12年10月~13年9月)の暫定予算も、27日には期限が切れる。財政運営を巡る政治的な対立を乗りこえ、混乱の収拾に全力を挙げるべきだ。

 急激な財政引き締めが13年1月から始まるのを防ぐため、与野党は富裕層を除く所得税減税の延長などに動いた。歳出の強制削減は2カ月凍結してきたが、その回避策では合意に至らなかった。

 政府職員の一時帰休といった具体的な影響が出るまでには時間がかかる。与野党が強制削減の停止に向けた協議を続けることもあって、市場の反応も限定的だ。

 しかし打開策を示せなければ国民の生活や国の安全保障に支障が生じ、米経済の足も引っ張りかねない。オバマ大統領は成長率を0.5ポイント程度押し下げ、75万人の雇用が犠牲になると強調した。

 米国では13年度暫定予算の期限が切れ、政府機関の窓口閉鎖という事態に追い込まれるリスクも残る。5月中旬までに国債の発行上限引き上げで合意できないと、債務不履行に陥る恐れもある。

 米国の国民をこうした危険にさらすことは許されない。回復の途上にある米経済がここで変調をきたすようなら、日本を含む世界の経済にも打撃を与えかねない。

 まずは歳出の強制削減を停止し、当面の予算執行や国債発行にも支障が生じないようにする。財政緊縮のペースを調整しながら足元の景気を下支えするとともに、増税と歳出削減のバランスがとれた中長期の財政再建策をまとめる。与野党はその具体策を早急に示さなければならない。

 富裕層へのさらなる増税を訴える与党・民主党と、これに反対して歳出の削減だけを求める野党・共和党の対立は根深い。不毛な政争を続け、「決められない政治」を長引かせるのでは困る。

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