Osprey Exercises: Is It All Up to the US Military?

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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に所属する新型輸送機MV22オスプレイの低空飛行訓練が6日、四国山地上空で始まった。オスプレイの本格運用は、沖縄県以外の日本国内では初めてだ。

 米軍岩国基地(山口県岩国市)を拠点に、和歌山県から四国にかけての「オレンジルート」を使った訓練である。

 オスプレイは開発段階で4回の重大事故を起こし、30人が死亡した。昨年もモロッコや米国内で、海兵隊所属機や空軍仕様の同型機の墜落が相次いだ。

安全性に疑問があるとして、配備先の沖縄では激しい反対運動が続いている。

 今回の訓練で、米軍はいったん、九州山地を周回するように飛ぶ「イエロールート」を使用すると防衛省に連絡した。訓練区域にかかりそうな九州の自治体は飛行経路の確認を急いだ。

 しかし米軍は、訓練前日に突然、ルート変更を連絡してきた。今度は四国の自治体が対応に追われた。肩すかしを食った九州の自治体が「米軍に振り回された」と不満を漏らすのも無理はない。

 オスプレイを含む米軍機は、日米地位協定に基づく特例法によって、航空法の適用除外とされている。飛行訓練について米軍側に通知義務はなく、日本側が訓練を規制することもできない。今回も便宜上連絡したにすぎないという。

 オスプレイは昨年10月から、沖縄での訓練を実施している。その訓練実態にも問題が多い。

訓練に先立ち、日米合同委員会が「低空飛行訓練は高度150メートル以上」「人口密集地域、学校、病院の上空は避ける」などの安全策をとることで合意した。

しかし「可能な限り」「運用上必要な場合を除き」などの条件をつけているため、安全策を守るかどうかは、事実上米軍の判断に委ねられている。

 沖縄県のまとめでは、昨年10~11月の2カ月で、人口密集地や学校の上空飛行など、合意に違反する疑いのある事例が318件報告されている。沖縄県は外務省と防衛省に実態調査を求めているが、回答はまだない。

政府はオスプレイの本土での訓練について「沖縄の基地負担軽減のため」として、関係自治体に理解を求めている。

確かに沖縄の基地負担は過重だ。訓練の実施理由や安全性に納得できるなら、本土側で受け入れ、負担を分かち合うことも必要である。しかし、飛行ルートがよく分からず、安全策の順守も保証されないような訓練を、喜んで受け入れる自治体があるだろうか。

安全性に問題のある訓練なら、本土でも沖縄でも行われてはならない。沖縄の人々とともに中止を求めていく。これが本土側が取るべきスタンスだろう。

日本の空での米軍の訓練について、もっと日本側が関与する権利があってしかるべきだ。日本の空はいったい誰のものなのか。オスプレイの訓練は、そんな根本的な問いを投げかけている。

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