Cowardly Terrorist Acts Targeting International Events Cannot Be Condoned

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国際的なイベント狙う卑劣なテロ許すな

 日本でもよく知られているスポーツのイベントが、市民や観光客を無差別に狙う卑劣なテロの標的にされた。米国のボストンで開かれていたボストン・マラソンのゴール付近で2度の大きな爆発があり、8歳の男の子を含む多くの観客らが死傷した。

 米政府高官は「明らかなテロ行為」と言明している。現時点で犯人像などは不明だが、背景にどのような政治的、思想的理由があろうとも、テロ行為は決して許されない。米当局は捜査を徹底して犯人を突き止め、法にもとづいて処罰する必要がある。

 国際的に著名な都市や観光地は近年、繰り返しテロの標的になってきた。2001年の米同時テロをはじめ、インドネシア・バリ島のディスコやスペイン・マドリードの鉄道、インド・ムンバイの高級ホテルなどで、多くの市民が巻き添えになっている。

 「劇場型」とも言われるこうした場所でのテロでは、多くの人が密集しているため被害が拡大しやすい。一方で、絶え間なく行き交う不特定多数の人を対象にした持ち物検査などは物理的に難しく、警備や抑止の面で大きな課題となっているのが現状だ。

 今回のテロでは、注目度の高い国際的なイベントが狙われた。ボストンは歴史的に欧州とのつながりが深く、外国からの移民や留学生が多い。米国の中でも国際色が豊かな都市だといえる。

 米同時テロでハイジャックされた旅客機の1機は、ボストン発の便だった。かつてアイルランド統合を目指して武装闘争を繰り広げたアイルランド共和軍(IRA)と、ボストンの移民社会との資金的つながりも指摘されていた。

 マラソンには外国選手が参加するほか、海外からの観光客も多く訪れる。外国からの来訪者に慣れ、国際的な行事が頻繁に開かれる土地柄が、治安維持の難しさにつながった面があるのではないか。

 ボストンのテロは、日本にとっても対岸の火事ではない。日本の地方都市を含め、アジアの各都市が世界中から人を招き入れ、国際会議やイベントの開催で競争力を競い合う現実がある。

 相次ぐテロは、こうしたグローバル化した社会の弱点を突いているともいえる。もはや一国によるテロ対策はあり得ない。各国の政府や治安機関がこれまで以上に緊密に連携し、国際的な視野でテロを封じ込めていく必要がある。

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