US Military Training Flights: A Call for Sincere Action on Japan's Part

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【米軍飛行訓練】国に誠実な対応を求める

 この異常な事態は何を意味しているのだろう。ここ10年ほど確認されていなかった本県嶺北地域での、米軍戦闘機の夜間飛行訓練がことし4月以降、頻発している。

 特に今月13日からは、午後10時前後に爆音を伴う飛行が4日間連続して確認された。子どもや高齢者らがおびえ、眠りを妨げられている。住民たちの不安や憤りはピークに達しているだろう。

 我慢の限度を超える事態に、県と嶺北地域4町村(大川村、土佐町、本山町、大豊町)の首長らが外務省と防衛省を訪れ、米軍に低空飛行訓練、とりわけ夜間の訓練の即時中止を申し入れるよう求める文書を提出した。

 国はこの要請を重く受け止め、真剣に対応しなければならない。これまでのようにおざなりの対応に終始すれば、国や米軍に対する不信感が一層深まるだけだ。

 昼間も含めた米軍機の飛来はことし60回を超える。飛行時間やルートの告知もなく、突然現れて低空飛行や横転・背面飛行を行う。

 昼間でも住宅密集地や学校の上を飛べば、1994年に早明浦ダム湖に米軍機が墜落した記憶のある住民は不安を覚えよう。山間部を飛行するドクターヘリの安全性も脅かしかねない。

 ましてや夜間の低空飛行訓練の爆音は、昼間より音が大きく聞こえ、大人でも恐怖を感じるほどだ。それが何日も続けば精神的なストレスや不眠などの被害が増える。

 今回の要請では嶺北の首長らに幼い子どもを持つ親たちの手紙22通が託され、政府に手渡された。

 〈夜間、爆音が家の中に響くと、娘が泣き出す。泣きやんだ後もしばらくおびえて寝付かない〉〈子どもが震えながら私たちにしがみついてきたり、布団にもぐりこんだりしている〉

 これらの叫びに国の関係者は誠実に応えるべきだ。住民たちが望んでいるのは、安心して眠れる夜という当たり前のことである。

 だが土佐町の西村町長は申し入れ後、「国は実態を知らない。話をしても映らないところがある」と語っている。要請が従来のように「聞き置く」程度で済まされる懸念が残る。

 事の大小は別に、米軍のわが物顔の振る舞いが国民に苦痛を強いる構図は、沖縄の基地問題に通じる。国は地元の要請を過小評価してはならない。

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