The US Needs to Explain the Surveillance of Foreign Embassies

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 米国家安全保障局(NSA)が、日本や欧州連合(EU)諸国などの米国内にある大使館や代表部を監視対象として、盗聴していたことが明らかになった。

 NSAによる個人情報収集活動を暴露し訴追された米中央情報局(CIA)元職員、スノーデン容疑者から情報提供を受けた英紙の報道がきっかけである。

 米政府は「全ての国が集めている種類の情報」にすぎないと声明を出した。しかし、外国の公館からひそかに情報収集していたことは、スパイ行為と受け取られても仕方あるまい。

 フランスのオランド大統領が「同盟国に対するこのような行為は容認できない」と非難し、即刻中止を求めたのは当然だ。

 菅義偉官房長官は「外交ルートを通じて、しかるべき確認を求めている」と述べた。日本と米国は同盟関係にある。米国は何のために、どのような情報を収集していたのか。日本政府は毅然(きぜん)とした態度で当たってもらいたい。

 報道によると、EU代表部への工作ではファクスに仕掛けた装置や、電波を拾うためのアンテナが用いられた。パソコンのデータをのぞき見る手法もあったという。

 外交関係に関するウィーン条約は、大使館などの公館を「不可侵」とし、受け入れ国は外交団に「自由な通信を許し、保護しなければならない」と定めている。

 公館の機器に細工し、電波を傍受して通信の自由を妨げたのは、不正行為にほかならない。

 米国の情報機関が盗聴や通信傍受を行っていることは「公然の秘密」とされてきた。米政府は決して認めなかったが、スノーデン容疑者の内部告発で初めて表立って確認されたといえよう。

 もちろん、こうした情報収集は米国に限ったことではなかろう。程度の差はあれ、他の国も同様の活動を行ってきた可能性はある。

 ただ、米国は冷戦時代から自由主義陣営のリーダーとして、国際的な「法と秩序」の維持に多大な影響力を発揮してきた国である。

 だからこそ、同盟国に対するスパイ的活動の是非を自ら検証すべきだ。事実関係を明らかにし、関係各国に説明する責務がある。

 一連の内部告発では、NSAが一般市民の通話記録やメールの情報を入手していたことも明らかになった。テロ対策とはいえ、膨大な個人情報の収集が許されるのかどうか、波紋を広げている。

 安全な社会の維持と、プライバシーのバランスをどう保つか。国家権力による情報利用をどう監視するのか。「自由の国」米国の真価が問われている。

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