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Posted on October 9, 2013.
これまで強い政治力を背景に縮小論を乗り切ってきた米海兵隊も財政難には抵抗できなかった。
国防費の強制削減を受け、米海兵隊は最大規模の部隊編成で、沖縄を含めて世界に三つ配備している海兵遠征軍(MEF)を二つに縮小することが分かった。
この方針は、財政難で米海兵隊も大幅な兵員削減や組織再編が避けられないことを示しており、過重な基地負担の軽減を求める沖縄にとっても大きな転機となり得る。米政府はMEF縮小計画に合わせ、事件・事故が絶えない在沖海兵隊の大幅削減を直ちに実行に移すべきだ。
米海兵隊は、三つのMEFの司令部を西海岸カリフォルニア州、南部ノースカロライナ州、沖縄のうるま市に置くが、改編計画はノースカロライナの2MEF司令部を廃止し、バージニア州の海兵隊総軍指令部に統合する。2MEFは、同司令部傘下の中規模部隊である第2海兵遠征旅団(2MEB)として独立運用するという。
MEF縮小計画を明らかにしたマッケンジー少将は、沖縄の3MEF司令部傘下の3MEBに関して「組織再編で独立した司令部を持つはずだ」と発言。在沖海兵隊を改編する可能性を示唆した。
米議会の重鎮議員や安全保障専門家から、在沖海兵隊の米本土への撤収論やオーストラリア移転論が提起されて久しい。
今年4月には、米軍事戦略に影響力を持つシンクタンク、ランド研究所は海外の米軍基地に関する報告書で、沖縄の3MEFを構成する第31海兵遠征部隊(31MEU、約2千人)を残して、残りの海兵隊を米本国に移しても「展開能力にはわずかな影響しか及ぼさない」と評価した。
31MEUは、紛争や自然災害時の在留米人の救出活動や人道支援などの任務を重視するとされる。普天間飛行場のヘリ部隊の一部を伴って、1年の約半分を洋上で展開しており、県内に駐留する期間は短い。
ランド研究所の提言を実行に移せば、普天間飛行場の移設計画の抜本的見直しが不可避であり、名護市辺野古の代替施設建設など不要であることは論をまたない。提言は、裏返せば、在沖海兵隊の抑止力や沖縄駐留の優位性など幻想だと言っているに等しい。日本政府も、普天間問題自体が解消する在沖海兵隊の大幅削減を米政府に強く働き掛けるべきだ。
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