Concerns over How 'US Budget Failure' Will Influence the Global Economy

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【米予算不成立】世界経済への影響が心配

2013年10月03日08時08分

 米議会が与野党対立ですったもんだしている間に、米国内や世界の経済へ深刻な影響が及びかねない。

 米国の会計年度は毎年10月から始まる。オバマ政権の医療保険制度(通称オバマケア)をめぐって、与党民主党と野党共和党が議会で対立、2014年度の暫定予算が成立せずに、政府機関の一部が業務停止に追い込まれた。

 政府機関の閉鎖は約18年ぶりで、国立公園休業などで観光業に影響が出始めている。防衛や治安など国民生活に直結する業務は続いているものの、経済活動の停滞につながる恐れがある。

 最も心配なのは、今月半ばに期限が迫る連邦債務の上限引き上げ問題だ。

 米政府が国債などで借金できる上限は、法律で約16兆7千億㌦(約1636兆円)と決まっている。議会が引き上げを認めなければ、資金繰りが困難になり、米国債は債務不履行(デフォルト)に陥る可能性がある。

 デフォルトとなれば、世界の金融市場や経済は大混乱してしまう。減速気味の新興国に代わって米経済は堅調さを取り戻している。デフォルトの懸念だけでも不安要因となり、日本経済へも影響するだろう。

 米議会は、今年1月にも減税打ち切りと政府歳出の強制削減が重なる「財政の崖」問題に直面した。この時も世界が動向を心配し、結局は上下両院が超党派で回避法案をやっと通した。

 与野党対立の原因であるオバマケアは、米国にこれまでなかった事実上の国民皆保険制度だ。共和党は、歴史的に個人の自助努力を重視する。保険への加入義務や加入しなかった場合の罰則がある制度には以前から反対だ。

 多額の予算を必要とする制度自体への不安があるのは確かだろう。だが、突き放した言い方をすれば米国の国内問題だ。仮に、予算や国債上限引き上げにめどが立たなければ、どういう事態を招くのか。米国の議員はもっと想像力を働かせてほしい。

 上院は民主党、下院は共和党が多数を占める「ねじれ」状態で、双方に歩み寄る姿勢は見えない。共和党は保険制度の本格実施延期を呼び掛けたが、民主党が認めないと踏んで提案した節がある。オバマ氏ら民主党側も一切譲歩しない構えだ。

 硬直したままでは打開策など見つからない。率直に話し合う機会を早く設け、議会の「機能不全」を解消すべきだ。時間はあまり残っていない。

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