South Korea Irritated over U.S.-Japan Relations

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 日本での集団的自衛権問題に韓国がまた大騒ぎしている。韓国は日本の安倍晋三政権に対しスタートからずっと「軍国主義復活」などと言って非難を続けているが、集団的自衛権問題はその“安倍たたきキャンペーン”の格好の材料で、このところまた反日で盛り上がっている。

 しかし今回は「米日が蜜月-韓国外交に試練」といったマスコミ報道(5日付、中央日報1面トップ)でも分かるように、米国が日本の立場を支持しているためイラ立ちが目立つ。

 先に日本を訪問したヘーゲル米国防長官に続きオーストラリアや英国が相次いで日本支持を明確にしたことを、韓国のメディアはいまいましげに伝えている。

 ただ韓国政府は、日本の集団的自衛権の是非については支持ないし反対の立場を明確にせず、慎重な態度だ。国会では、日本批判となると俄然(がぜん)、張り切る野党陣営が政府の立場を追及したが、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は「もう少し見守りたい。現時点での発言は適切ではない…」などとノラリクラリの答弁に終始していた。

 それでも尹外相は「周辺国の憂慮が解消される方向で透明に進行されるべきだ」とか「過去の歴史問題とは連係しないだろう」とも述べているため、必ずしも反対ではないようだ。

 集団的自衛権というのは、たとえば朝鮮半島での軍事的有事に際し、米韓同盟で韓国支援に出動した米軍が“敵”に攻撃された場合、日本の自衛隊も米軍に協力し“敵”に反撃できるようにするというものだ。

 米国は日本とも同盟関係にある。そのためお互い助け合うという同盟国の意味から日本にそうした役割を期待しているが、韓国では昔、日本に支配された歴史的経験から「また日本が攻めてくる!」と心配や警戒の声がある。

 韓国の意向を無視して自衛隊が韓国-朝鮮半島に上陸するなどということはまったく想定されていないが、歴史を口実にした韓国の日本批判にはもってこいのネタだ。いつも日本への警戒と愛国心を国民に訴えたがるマスコミは「政府は何をしている!」としきりに不満を語っている。

 中には「逆行する米国の対日外交」(16日付、文化日報)などと日本支持の米国を露骨に批判する論評もある。この論評は集団的自衛権を支持した最近の日米共同声明を、1905(明治38)年に米国が日本の韓国支配を認めた「桂・タフト協定」だといって、「韓国人の反日が反米に飛び火するかも…」と米国を脅し(?)ている。

 韓国政府がこの問題で日本批判を控えているのは、米韓同盟上、有事の際の日本による米軍支援は不可避であることを知っているからだ。現実は在日米軍の役割をはじめ、日本の協力を拒否して米韓同盟の効果的運用はありえないからだ。

 「日本は加害者だった過去の歴史を忘れるな」とばかり、各国首脳との席で日本批判(安倍批判?)をぶって回っている朴槿恵(パク・クネ)大統領も、この問題では口をつぐんでいる。安保重視で米韓同盟の維持・強化が公約の朴大統領としては、そう簡単には「日本はずし」には踏み切れない。

 メディア・世論には、最近のアジア太平洋経済協力会議(APEC)や東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議での動きを背景に「朴大統領、米・中の間で等距離外交」(12日付、中央日報1面トップ)などと親・中国ムードをあおるような声もある。朴大統領は外交的立ち位置をはっきりさせる必要がある。

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