Drone Strikes: Too Dangerous and Selfish

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無人機攻撃/あまりに危険で身勝手だ

 撃墜されても、誰も乗っていないから、人命を失う心配はない。それが無人機攻撃を行う最大の利点だろう。だがそれは、あくまでも攻撃する側の理屈である。

 関係のない人たちが攻撃の巻き添えを食って命を落としても頓着しないというのなら、あまりにも身勝手というしかない。

 米英両国の無人機による対テロ作戦で、パキスタンやアフガニスタンなどではこの10年で400人以上の市民が犠牲になっている。国連は現地調査を踏まえ、そう結論付けた報告書を公表した。

 攻撃の標的とされた国際テロ組織の関係者などを含めれば、死者は2200人を超える。他国の領内でミサイル攻撃などを行っても、相手国への詳しい説明がない。そんな理不尽がまかり通っているという。

 国連の報告書は特に米国を名指しし、事実関係を明確にするよう求めた。なぜ、このような行動が許されると考えているのか、理由も明らかにせよ、と迫っている。

 当然だ。パキスタンのシャリフ首相も米国の姿勢を批判し、オバマ米大統領に直接、中止を求めた。米英は、関係国や国際社会に対しきちんと説明する責務がある。テロと無関係の犠牲者への謝罪と補償にも誠実に対応しなければならない。

 無人機は遠隔操作でピンポイントの攻撃を行う。オバマ政権下で回数が急増しており、米英だけでなく、イスラエルも使用している。

 精密誘導兵器と一体的に運用すれば、攻撃の精度がより高まるとされる。とはいえ、遠く離れた場所での画面を見ながらの操作は、現地の状況が把握しにくい弊害もある。

 米側は「作戦は正確で合法的、効果的」と主張する。しかし、現実には子どもを含む市民の犠牲が後を絶たない。作戦は中央情報局(CIA)などの情報機関が主導しており、手の内を明かさない極端な秘密主義も不信や反発を招く要因だ。

 そうした姿勢が結果的に反米テロをあおる。パキスタンで女子教育の権利を訴えてイスラム過激派に銃撃されたマララ・ユスフザイさんは、オバマ大統領にそう訴えた。

 ノーベル平和賞候補に名前が挙がった少女の声は、危険にさらされ続ける人々の叫びでもある。英米は無人機攻撃が現地にもたらした被害状況に率直に目を向けるべきだ。

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