Demand Explanation for US Surveillance of Japan

Edited by Gillian Palmer 

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社説[日本も監視対象]政府は米に説明求めよ

2013年11月7日 09時17分

 米国の闇の姿を見る思いだ。米国家安全保障局(NSA)による通信傍受が次々と暴露されている。

 NSAの海外活動拠点の一つが日本にあり、日本が盗聴などの監視対象になっていることが分かった。活動拠点は米軍基地や在外公館内に置かれているという。

 米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。報道は、米中央情報局(CIA)元職員でロシアに政治亡命したスノーデン容疑者から入手した機密文書を基にしている。「敵国と同時に友好国も日常的にスパイしている」と、NSAの活動実態を伝えている。日本やブラジルには「経済的優位」、フランスやドイツのような同盟国には「外交的優位」に立つことが目的だ。

 日本は、交渉内容が国民に知らされないまま秘密裏に進む環太平洋連携協定(TPP)に関する情報も盗聴対象になっているとみるべきだ。

 オバマ政権が盗聴などの目的を「テロ対策」と説明していたことは、もはや説得力を持たない。米国は、自由、民主主義の国から遠くかけ離れたと言わざるを得ない。

 情けないのは日本政府の対応である。小野寺五典防衛相は記者団に問われ、「同盟国との信頼を傷つけるようなことは望ましいことではない。そのような報道は信じたくない」とコメントした。

 「信じたくない」という情緒的な感想ではなく、機密文書に記されていることからみて、事実関係は間違いないとみるほうが自然だ。政府として抗議すべきなのである。

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 ドイツのメルケル首相の携帯電話が2002年から10年以上、NSAに盗聴されていた。同盟国の信頼関係を破るものであるとオバマ大統領に抗議した。当然である。

 オバマ氏は盗聴を知らなかったというが、にわかには信じがたい。大統領が知らぬところで、実行しているのであれば諜報(ちょうほう)機関の暴走である。

 NSAは35カ国首脳を盗聴し、フランスやスペインなどでは市民の膨大な通話内容を盗聴していた。ブラジルやメキシコの首脳への通信傍受も明らかになっている。

 米国家情報長官は、外国首脳の情報収集を「これからも続ける」と明言している。オバマ氏は盗聴中止を指示したとされるが、米国の統治はどうなっているのだろうか。

 ドイツとブラジルは国連総会第3委員会(人権)で情報収集を監視する第三者の「独立した仕組み」を設けるよう求める決議案を提出した。

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 日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設関連法案と一体となる特定秘密保護法案が提出され、審議に入る。

 秘密保護法案は同盟国の米国からもたらされる情報管理のためである。米国からの情報を守るため、公務員への罰則強化や市民の情報へのアクセスを制限する。危険な法律を成立させようとしながら、自国の情報が米国に盗聴されていることには無頓着だ。開いた口がふさがらない。日本は膨大な「思いやり予算」を提供し、世界一気前のいい同盟国といわれる。抗議もできないようでは米国の「属国」とみられても仕方がない。

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