Facilitating US MonetaryEasing Reduction

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米量的緩和の縮小を円滑に

2013/12/20付

 米連邦準備理事会(FRB)が来年1月から、量的金融緩和を縮小することを決めた。月850億ドル(約8.8兆円)の証券購入をまず100億ドル減額する。

 米国では景気回復の地盤が徐々に固まり、財政運営を巡る混乱も回避されつつある。リーマン・ショックに端を発した大胆な金融緩和の出口を探るのは自然だ。

 だが証券購入の停止やゼロ金利政策の解除までには時間がかかる。世界経済や金融市場への影響を最小限に抑えるため、透明で柔軟な政策運営に努めてほしい。

 FRBは証券購入を段階的に縮小し、来年後半にも停止する方針を示した。金融引き締めを意図しているわけではなく、失業率が6.5%を安定的に下回るまではゼロ金利政策を続けるという。

 こうした説明が安心感を与えたこともあって、市場の動揺は避けられた。金融政策の正常化に向けた一歩をうまく踏み出したと評価してもいいだろう。

 しかし予断は許さない。量的緩和の縮小に伴って米国の長期金利が上昇し、住宅市場や個人消費の回復を妨げる恐れがある。新興国から資金が流出し、世界経済の足を引っ張る懸念も拭えない。

 FRBは経済情勢を見極めながら、量的緩和の縮小ペースをうまく調節すべきだろう。その判断や意図を明快に伝え、市場に十分織り込ませる努力も要る。

 証券購入の縮小に踏み出したのはバーナンキ議長だが、購入停止やゼロ金利解除までの過程に責任を負うのはイエレン次期議長である。政策運営の連続性を保つだけでなく、市場との対話を改善する工夫を凝らしてもらいたい。

 米国の与野党にも注文がある。財政運営を巡る対立を繰り返し、米経済を危険にさらしてはならない。歳出強制削減の緩和などで合意したのに続き、連邦債務の上限引き上げでも折り合うべきだ。

 長期金利や株価の変動には日本も神経質にならざるを得ない。安倍政権は日本経済の成長基盤をしっかりと固めておくべきだ。

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