The Success or Failure of US Corporations Decided by Structural Changes

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構造転換で明暗分けた米企業

2014/1/26付

米国の大企業が事業構造の転換を急いでいる。世界各地で米企業と競う日本企業も足元の業績回復に安住することなく、収益力を高める必要がある。

 米企業の業績は全体としては好調だ。トムソン・ロイターによれば、主要500社の2013年10~12月期の純利益は前年同期に比べ7%増えたもようだ。ただ、売上高は1%弱の微増にとどまるなど、すべての企業に追い風が吹いているとは言えない。

 事業をとりまく様々な環境の変化で業績の明暗が分かれる場合が多い。金融業が代表だ。

 リーマン・ショック後の規制強化により、米金融機関は高リスクの取引が難しくなった。このため、銀行と証券の業務を兼営することで経営リスクを低く抑えたバンク・オブ・アメリカなどが増益だった半面、証券売買を収益源としてきたゴールドマン・サックスなどの利益は大幅に減った。

 金融以外ではIT(情報技術)関連の企業でも、業績の好不調が分かれた。

 半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は売上高が4割近く増え、最終損益も黒字になった。パソコン向けの事業にかわり、ゲーム機向け画像処理半導体の事業に力を入れるなど、需要の変化を見すえた経営戦略が実を結んだ。

 対照的にハードウエア事業の不振にあえぐIBMは、7四半期連続の減収となった。中国レノボ・グループへの低価格サーバー事業の売却は、構造転換を急ぐ危機感の表れに他ならない。

 米企業決算は、過去に成功した事業モデルや経営戦略であっても、短期間で競争力を失いかねないという厳しい現実も示す。そうした傾向は小売業など金融やIT以外にも広がっている。

 日本でも任天堂が赤字の見通しを突然発表するなど、往年の勝ち組だった企業が劣勢に立つ例は後を絶たない。米企業の動向を注視し、日本企業も事業構造を常に見直し競争力を磨くべきだ。

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