日米軸に安倍外交の立て直しを急げ
2014/1/26 3:30
国際秩序に挑戦しようとしている。侵略の歴史を認めようとしない――。安倍晋三首相の靖国神社参拝をめぐり、中国が世界中でこんな対日批判を続けている。日本を孤立させるための宣伝だが、米欧メディアが日中対立に関心を寄せるきっかけにもなっている。
こうしたなか、安倍首相が出席した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも、日中関係をめぐる質問が相次いだ。首相は第1次世界大戦でぶつかった英独関係の教訓を引き合いに、日中の首脳対話が必要だという趣旨の発言をした。
ところが、あたかも日中武力衝突の危険を指摘したかのように誤って報じられ、波紋を広げる一幕があった。
安倍首相が靖国神社を参拝したことによって、根拠に欠ける中国の反日宣伝が勢いづく余地が生まれてしまった面は否めない。安倍政権はこうした構図を早急に改めなければならない。
まず、中国の批判には客観的な事実を示し、ひとつひとつ冷静に反論していく必要がある。ただ、中国の狙いは安倍政権を歴史論争の泥沼に引き込み、国際的に孤立させることにある。売られたケンカを買うような対応だけでは、中国側の思うつぼだ。
安倍政権にとっての上策とは、歴史問題には深入りせず、中国の台頭をにらんだ外交や安全保障協力を、各国と着実に積み重ねていくことである。
安倍外交を立て直す起点になるのは、日米関係だ。米政府は靖国参拝に「失望」を表明したが、この問題に一区切りをつけ、同盟強化を加速していく姿勢も明確にしている。
今月中旬、谷内正太郎国家安全保障局長が訪米した際にも、ライス大統領補佐官やケリー国務長官、ヘーゲル国防長官らが応対し、連携を確認した。視線の先にあるのは、中国軍の増強や緊迫する北朝鮮の情勢だ。
そこで大きな課題になるのが、歴史問題で冷えている韓国との関係改善である。北朝鮮問題などに対応するには、日米だけでなく、日米韓の結束が欠かせない。
先週に来日したバーンズ米国務副長官も、日韓の修復に強い期待をのぞかせた。安倍首相はかねて、朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領に会談を呼びかけている。朴大統領は会談に応じ、話し合いで対立を解く姿勢に転じてほしい。
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