Obama's Diplomacy: Focusing on Asia via Cooperation Between Japan, the US and South Korea

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オバマ外交 アジア重視へ日米韓の連携を(2月20日付・読売社説)

 アジアの平和と安定を維持するためには、米国と、同盟国である日本や韓国などが協力関係を深化させねばならない。

 オバマ米大統領が「アジア重視」の外交政策立て直しに乗り出した。揺らいでいる日米韓の連携再構築が重要な課題だ。

 ケリー米国務長官は今月、ワシントンで岸田外相と会談した後、韓国と中国、インドネシアを訪問した。4月下旬には、オバマ氏の日本、韓国、マレーシア、フィリピン歴訪が予定されている。

 アジアでは、防空識別圏の設定など中国の拡張主義的な行動が顕著になった。北朝鮮では不安定な情勢が続き、核の脅威は増大している。オバマ氏は関与に本腰を入れるべきだと考えたのだろう。

 習近平国家主席はケリー氏に、「新しいタイプの大国関係」の構築を再び求めた。米国は中国を軍事的に牽制けんせいしたい一方で、経済面では中国との相互依存関係が一段と高まっている。

 複雑な思惑が交錯する両国がどのような「大国関係」を築くのか。難しい課題となろう。

 それだけに、米国にとっては同盟国との協力強化が不可欠だ。

 ケリー氏は、日韓両外相に両国関係の改善を強く要請した。アジア戦略の要となる日米韓の結束が歴史問題などを巡る日韓対立によって損なわれていることに、危機感を募らせたからに違いない。

 韓国外相との共同記者会見では「日韓が米国と共に取り組むことを求める」と述べた。日韓の仲裁に乗り出す方針の表明である。

 だが、事態打開は容易でない。日韓首脳会談について、安倍首相は無条件で開催する意向だが、韓国の朴槿恵大統領は、いわゆる従軍慰安婦問題での譲歩など日本に様々な条件を付けている。

 昨年末の安倍首相の靖国神社参拝に米国が「失望」を表明して以来、日米関係がぎくしゃくしているのも気がかりだ。

 靖国問題について、ケリー氏は会見で「これ以上こだわる必要はない」と強調したが、米国内には対日不信を示す論調もある。

 日本側にも不満が残る。衛藤晟一首相補佐官は、その後取り消したものの、ネット上で「我々の方が失望した」と米国を批判する発言を公開して、物議を醸した。

 佐々江賢一郎駐米大使も米国で「米国は誰が友人で、誰をトラブルメーカーと考えているのかはっきりさせてほしい」と訴えた。

 日米関係の重要性を再認識する姿勢が、アジアへの関与を強めるオバマ氏に問われよう。

(2014年2月20日01時37分 読売新聞)

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