日米韓首脳会談 歴史に向き合い解決図れ
2014年3月22日
オランダで24日から開かれる核安全保障サミットで日米韓首脳会談が開かれることになった。極度に悪化した日韓関係の修復に向けた第一歩であり、歓迎したい。
だが、民主主義という価値観を共有する隣国の首脳同士が、第三者の仲介なしに面談すらできないことが異常である。これを機に抜本的な解決を図りたい。経緯を見れば、歴史認識の共有なしにそれができないことは明らかだ。日本も歴史に真摯(しんし)に向き合い、解決を図るべきだ。
今回の会談の裏には、4月のオバマ大統領の日韓歴訪を前に、関係改善をお膳立てしておきたいという米側の意向があった。それを受け、安倍晋三首相は国会で従軍慰安婦に関する1993年の河野官房長官談話を「見直すことは考えていない」と明言。これに韓国の朴槿恵大統領も「幸いに思う」と応じ、会談の環境が整った。
だがこれで楽観するのは早計だ。日本政府はその河野談話の作成過程を「検証」する方針で、菅義偉官房長官はその検証作業を「予定通り進める」と述べているからだ。
朝鮮半島出身の元慰安婦の証言は信用できないと言うに等しい。「河野談話を見直さず」は米国向けのポーズであり、従軍慰安婦を生み出した過去を心から反省しているか疑わしい。韓国側がそう見るのは当然であろう。
日韓関係悪化のきっかけは2011年8月、韓国の憲法裁判所が元従軍慰安婦の請求権問題について、韓国政府が日本政府に対して措置を講じないのは違憲と判断したことだ。これを受け同年12月、当時の李明博大統領が対応を求めたのに対し、当時の野田佳彦首相は「慰安婦問題は解決済み」と一蹴。翌年、李大統領が竹島に上陸して、関係は膠着(こうちゃく)した。
日本側は「大統領は国内対策で言及せざるを得ないだけだ」と高をくくっていた。だが植民地支配の被害者にとって加害者が歴史を軽視するのは許し難い。歴史に真摯に向き合うよう求めるのは当然なのだ。
日本側では専ら朝鮮半島内で軍や官憲が直接、強制連行した事実の有無ばかりを問いがちだ。だがその女性たちに「軍直営・専用」の慰安所から逃げる自由、拒否・廃業する自由はあったのか。しかも女性の多くは未成年者だ。いかなる意味でも正当化は不可能である。慰安婦制度が人道に著しく背いた点を直視すべきなのだ。
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