I Love New York: The Haves and the Have-nots

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アイ・ラブ・ニューヨーク 持つ者と持たざる者

 摩天楼がひしめくニューヨーク市マンハッタンでは毎朝、回転翼をバタバタと派手に響かせて到着するヘリコプターを見ることができる。決まっていつも同じ時間帯。どんな人々が乗っているかと思ったら、隣接する町から通勤する富豪たちということが分かった。通勤時間を短縮するための利用とはいえ、富裕層の生活レベルは私たち日本人の想像をはるかに超える。

 ニューヨーク市近郊の風光明媚(めいび)な地区を訪れた際にも、野球場が20前後も入りそうな広大な土地に屋敷を持つ富豪がいることが分かった。その令嬢を知る人物によれば、彼女はマンハッタンでわずか2ブロック(100メートル前後)を移動するのに、何とタクシーを利用したのだという。北東部ニューハンプシャー州にあるアイビーリーグの名門校、ダートマス大学と連携し、入所者が同大の関連講座を受講できるという高齢者施設にも大勢の富裕層がいた。入所時に5千万円相当の一時金を払うほか、毎月の施設利用代も高額。だが、充実した福祉サービスを享受するためなら多額の出費もいとわない。

 これに対し、ニューヨークの地下鉄構内では毎日、「きょう、何も食べていない。恵んでください」と懇願する人の姿があり胸が痛む。持つ者と持たざる者-。この国でその落差は激しすぎる。(黒沢潤)

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